惨状と説教

誰か山から降りてきてほたえてから山に帰っていく記事。ブログ

中華版自分探し、古希にしてついに終了。『太公望伝』の感想について

はじめに 時節柄、外出が気ままにできない(特に遠出)。 そのせいか、気持ちの面だけでも遠くに行こうと諸星大二郎作品ばかり読むことになる。古代中国、隔絶された山村、っていうか普通に異界。そんなのばっかり出てくる。 『太公望伝』 というわけで太公…

遠くに行く(気持ちの中で)。『移動』をテーマにした創作5選+αについて ②

①はこちら。 『BLAME!』 原作者である弐瓶勉自ら、「主人公は建物かも」と言ったとされる、巨大建築探索SF。 物語の舞台は「基底現実」と呼ばれる超巨大構造物。 なぜいちいち現実などと呼ぶかというと、主人公たちが目指しているのが、ネットスフィアと呼…

遠くに行く(気持ちの中で)。『移動』をテーマにした創作5選+αについて ①

はじめに 時節柄、なかなか外出ができない。 実際に外を気ままにぶらつけないでいることより、『好き勝手出歩くなよ』という制限の存在の方が重苦しく、そのせいでかえって、ああ、遠くに行きてえな、という気持ちが強まってくる。 そういうわけなので、頭の…

4月11日について

ものすごく久しぶりに会う友人のところを訪ねていった。 友人は飲食を経営しているのだが、昨今の騒動で人が来なくなって大変だという。 俺にできる支援として(と言うのもちょっと変か?こっちも商品をいただいてるわけだし)、テイクアウトを買い求めに行…

『ID:INVADED』11話までの疑問と感想を整理することについて

はじめに けっこうな波乱が巻き起こりつつ(主に東郷室長補佐の新事実的な意味で)、解決された謎も多かった第11話。 前回までの疑問や推測を自己採点しつつ、再整理していく。 百貴宅から検出された鳴瓢の思念粒子について 百貴宅から検出された鳴瓢の思念…

新型コロナウィルスによるマスクやトイレットペーパーの不足について。あるいは、不合理な行為は不合理なことなのか?ということ

新型コロナウィルスの報道によって日本中の店舗からマスクがなくなってしまい、「まぁ俺はマスクをしねぇしなぁ」ってヘラヘラしていたら、今度はトイレットペーパーやティッシュペーパーまで不足し始め、季節に限らず万年鼻炎で洟水を垂れている俺もついに…

爆散する恋心。『チェンソーマン』6巻の感想について

記事の題名、ちょっと考えたけれどもう公式のつけたコピーがさすがそのまんま正解ですわ。 まんま的を射ている。そして本編ももちろん素晴らしい。『チェンソーマン』を読むときはアルコールでハイとぐでぐでのアイノコになって楽しむ、というのが俺の好きな…

『ID:INVADED』10話までの疑問と感想を整理することについて

はじめに 文字通り、謎が謎を呼ぶアニメ『id:INVADED』。 10話まで視聴して気になった点を整理する…前に、まず、現在の作品世界の構造から。 現実世界 >砂漠の世界=雷の世界=鳴瓢のイド(酒井田=鳴瓢と穴井戸=富久田が滞在中。鳴瓢のドグマ落ちとともに…

舞城王太郎脚本、シリーズ構成。『ID:INVADED』を観ようぜ、ということについて

アニメ『id:INVADED』にハマっている。 俺の大好きな舞城王太郎がシリーズ構成(ってなんなのかよくわからないけど)と脚本を担当しているということで視聴して、あっさりハマった。舞城ファンで、あんまりアニメを観る習慣がない人にもおすすめ。 いま10話…

俺が父親を嫌いなことについて

俺には子供がいないが、自分の血を受けたこの小さいものが側にいるというのが、どういうことなのか、ときどき考えてみることがある。 俺がそいつを色々なところに連れて行くとき、そいつは俺の後ろから一生懸命についてくるのか、目の前の世界に誘われて俺を…

俺と#KuTooについて

俺が#KuToo運動について最初に耳にしたのは、観ることなく垂れ流しにしていたテレビのニュースからだったと思う。 じゃあ、そんなにイヤなら履かなきゃいいじゃねえか、というのが、反射的にとった俺のリアクションだった。 俺の愚かなところは、仕事柄、脱…

やべーエッセイ三度。『ひみつのしつもん』の感想について

げらげら笑いながら読んだので感想を書こう、と思ったら困った。 なぜかというと、言うべきことがあまりないからである。 世の中にはドラマチックな物語、意義に富む物語、というものがたくさんあり、そういうものの感想を書くのはこれは簡単なわけである。 …

2月14日について

心の具合がよくないので、せめて体ぐらいは健康でいようと、サウナに通っている。 向かう電車の中で、『CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見』という本を読んでいた。 細菌は自分に害をなすウィルスを迎撃するために、ウィルスのDNAを特定してそれを破壊する…

2月2日について

俺が喫茶店で朝飯を食っている横に母親と子供の二人連れがいて、やっぱり朝ごはんを食べている。 小さい子供。あの、何かするたびに「あう、あ」と声がぽこぽここぼれてくるような時期だ。 普通の椅子ではテーブルに届かないので、飲食店が小児用に備えてい…

マジメになっていく俺たちの中から天才という人種はそのうちいなくなることについて

いきなりでなんだけど、才能とはなんだろうか。みなさんはなんだと思います? 俺は、才能とは倫理観、マジメさのことだと思う。あえてそう言い切る。 他者への想像力をちゃんと働かせること。 社会で幅を利かせる欺瞞に対する鋭い嗅覚。 そして、そういう気…

group_inou聴こうぜ、ということについて

もう完全に、いま自分がハマっているものの話をしたいだけなんだけど。 半年ほど前のある日のこと。 youtubeのおすすめ楽曲のサムネイルに、やたら濃いアニメーションの妙な曲が登場(その時点ではAC部の存在も知らない)。 なんだこりゃ? 無視無視、つって…

善悪がいい加減でよろしい『呪術廻戦』8・9巻の感想について

ネタバレ含みます。注意。 相変わらず回転がはえーな、と。 前巻からの呪胎九相図vs.悠仁・野薔薇のタッグマッチが決着、と思ったら一年トリオ三人がいきなり1級呪術師候補に。 勝手に、今後→2級 →1級とこつこつ登っていく過程が描かれる、そこがストーリー…

飛行機で旅行することについて

12月30日に乗った飛行機は、成田空港から出て韓国の仁川を経由し、エチオピアのボレ空港に到着する便だった。日本人が思ったよりも多く搭乗していたから、エチオピアに行く人がそんなに多いのか、と意外に感じたが、考えてみれば一度韓国に寄るのだから、そ…

観なかった「笑ってはいけない」の感想にかえて。俺は笑いが好きで怖いことについて

ガキの使いの『笑ってはいけない』については、観ていて本当に楽しかったのはハイスクールまでで、警察署以降は、従来のファンとしては観ても面白くないと思っている。 今年も結局観なくて、登場したネタについてニュースやSNSで目にしただけだったが、その…

命がわからないことについて

www.asahi.com www.cnn.co.jp www.jiji.com 生きるために死ぬような思いをしなければならない人がいれば、生きていくにはなんの支障もなくても、危険を伴うような場所に行かなければ生の実感を持てない人もいて、明日自分が死ぬなんて思っていなくても死ぬ人…

11月3日について

今朝、近所の店で買ったパンとコーヒーを近所の公園で食べていたら、少し離れているところで、ようやく歩き始めたという感じの小さい子供が泣いていた。 子供は、ときどき何か言いながら両手をぶんぶんと振る。その視線の先には、お母さんらしい女性が公園の…

『バトゥーキ』5巻が普通に面白かったことについて

普通に面白かった、という話。 連載開始当初は死ぬほどつまらない…見せかけて、あらためて、読んでみたら死ぬほど面白かった『バトゥーキ』。 あまりに急激に手のひらを返したため俺の手首が折り曲がってしまった『バトゥーキ』。 5巻が引き続き面白いです。…

10月19日について②

深更に襲来し俺のテントを水煙のるつぼに変え周囲を湿原にしてしまった雨は、朝になるとともに徐々に弱まり始めた。 コンビニに買い出しに行った後、テントに戻った俺は、カップラーメンと残ったスープに五目おにぎりをぶち込んで汁ごと喰うという悪魔のよう…

10月19日について①

午後11時、テントの天井から吊ったランプの周りを、迷い込んだらしい蠅が一匹、嬉々として飛び回っていた。うっとうしいな、と思いながら寝袋の中でもぞもぞ体を動かす。 この日、俺は都内のキャンプ場に泊まっていた。テントの外には小糠雨が、降ると言うよ…

今週のお題「運動不足」について

運動というと、最初にスポーツのイメージが浮かぶ。 週に2回くらい、30分程度のランニングをこころがけている。 走る前はこれがまあやりたくないこと、こんなに億劫なことがこの世にあるのか、という感じだが、なんとか自分を無心にして(「気合い」や「克己…

お題:「#わたしの推し米」について

お題:「#わたしの推し米」について シロメシがうまい食事どころというのがある。 考えてみるとなんだか不思議な気がするが、それは定食屋だったり中華料理屋だったり飲み屋だったりして、どういう店ならシロメシがうまいとか、一概に言えなかったりする。 …

たぶん俺だけが思う狂気の正体、映画『ジョーカー』の感想について

(この記事はとても長いので、読むのに10分ぐらいかかります。ネタバレなしのとこまでなら2分ぐらい) はじめに 思ったよりも複雑な映画でした。そして、思ったとおり、いや、思った以上に美しい映画でした。 複雑な、というのは、俺の想像していたのは、も…

2019年10月2日について

日本人以外のアジア人はうるさい。うるさくて周りの迷惑を全く考えていない。日本以外のアジア人に恥という感覚などないのだろう。 公共の場で大人数で移動しながらデカいスーツケースを引きずってデカい声で騒いでいるのはたいていアジア人。 俺には広東語…

10月1日。死ぬときに思うことについて

箱根のポーラ美術館の前には、林道がゆるい蛇行を描いている。 箱根を訪れて、バスに乗ってその道を揺られていた。天気がいい日で、道の左右には木々がたっぷりと生い茂っていて、射してくる日の光まで心持ち緑色ににじみながら、舗道を照らしている感じだっ…

間違っても「超娯楽大作」ではない。『アド・アストラ』の感想について

はじめに 物語の終盤のある場面で、観ている自分の顔がいきなりぐしゃっと歪む感覚があって、なんだなんだ、どうしたんだ、と驚いた。 なんで俺は泣いているんだろう。 俺は嗚咽していた。恥ずかしい。でも、スクリーンの中のブラッドピットもそのとき泣いて…