惨状と説教

誰か山から降りてきてほたえてから山に帰っていく記事。ブログ

できるわけがないこと、もしくはできるわけがないと思わされることについて

はじめに www.bbc.com 何年か前、ドナルド・トランプがまだ大統領候補でしかなかった頃。自分が大統領になったらメキシコとの間に壁を作るつもりであるとこの人が言っているのを聞いたときのこと。 俺は、このおっさんは何を言ってるんだと思っていた。 異国…

嫌な情報について

はじめに 自分にとって何が嫌な情報かというと、人を傷つけるものより無駄なものより、読み手のことを明らかにナメているものが嫌いである。 ただ、読み手のことを明らかにナメている情報のたいていは人を傷つけるか無駄かのどちらか、もしくは両方なので、…

外道とあなたは言うけれど。『外道クライマー』の感想について

はじめに ロックでもアートでもなんでもいいが、「反体制的」な成り立ち、あるいは要素を持つものにはものすごく重大な弱点がある。 それはこれらが、自分たちが反発している体制なくしては存在することさえできないということだ。 反体制芸術は、体制が間違…

豚コレラと日記について

www.asahi.com きわめて極私的なうえに混乱した話。 豚コレラの被害が広がっていて、感染した豚の殺処分が始まったらしい。 一般的な反応はわからないが、俺の場合報道に触れながら胃が絞られるように苦しい。農家を営んでいるわけでも食品を仕事で扱ってい…

明石市長の暴言をめぐる意見について思うことと「火をつけてこい」と口にした時点でアウトだということについて

はじめに また俺の中の逆張りクソ野郎が暴れ出してしまった。 先日、明石市市長が道路の拡幅工事をめぐって担当者を叱責した際、「火をつけて捕まってこい」と口に出して発言していたことが報道された。 この暴言に対し、はじめは批判の方が大きかった(と思…

そこの君、ヤンジャンをコンビニの棚に戻したら『バトゥーキ』を買おうぜ、ということについて

はじめに 基本的に題名の通りなんですが、そのままだとあんまりなので俺がこのマンガについてものすごく手のひらをかえしたところから話を始めます。 例えばですね、タイムマシンを使って昨日の俺を今日に連れてきて今日の俺と二人で並んで立ったとしますよ…

先に左右を倒さないと蘇生させてくるパターン。『ゴールデンゴールド』5巻の感想について

あいかわらずべらぼうに面白かったですが、今巻はあまり大きな波乱がなかったので(終盤のぞく)簡潔に。 まず印象に残ったところ。ばあちゃんの変貌とフクノカミの扱いをめぐって、琉花がお母さんともめました。琉花は母親が持ち出す世間の常識や社会人とし…

偉そうなのに間違っている奴の言うことはすべて無視していいかということについて

はじめに あまりオチのない話。 『スプラトゥーン2』が好きで、一昨年の秋に買って以降いまだにこればっかりやっている。 で、今日こんな記事を読んだ。 「スプラトゥーン」の中毒性が極端に高い理由 | ゲーム・エンタメ | 東洋経済オンライン | 経済ニュース…

海は深くて暗い。『サカナとヤクザ』の感想について

はじめに いま話題の、海産物がアンダーグラウンドで暴力団の資金源となっている実態を追ったルポルタージュ。 とても面白く読んだのだが、一方で物足りない部分もあった。 俺が興味があったのは、要するに俺たちはこのまま魚を食い続けていていいのか、とい…

NHKスペシャル「“冒険の共有” 栗城史多の見果てぬ夢」を観た感想について

はじめに 先日、引退を表明した吉田沙保里の昔のエピソードで小さい頃から父親にレスリングの教育をされていたと知って、「うわーっ」と思った。 今日、市川海老蔵(現 團十郎)の息子が父親のかつての跡を襲名したと聞いて、やっぱり「うわーっ」と思ってい…

週刊SPA!の『ヤレる女子大学生ランキング』の抗議運動に関して、汚い大人の男の立場から思うことについて

はじめに 週刊SPA!で「ヤレる女子大学生ランキング」という記事が掲載され、批判を浴びている。 批判の原動力になったのはNGOの代表も務める学生の方が発起人となった抗議署名活動で、俺はこの抗議運動とセットにして、記事の存在についても知ったかたちで…

ポジティブな虚無に立ち向かう大傑作。『トロフィーワイフ』の感想について

はじめに 新年あけましておめでとうございます。 本年一発目、まったく年明けと関係のない記事で恐縮なんですが、舞城王太郎の『トロフィーワイフ』の感想をまとめます。 『トロフィーワイフ』、すげーよかったです。帰省中の列車の中で前のめりで読み込んで…

腐ってるやつら、ライブで踊っててもどこか冷めてるやつら、『エバタのロック』を読もうぜということについて

はじめに 学生の頃からものを腐らさせることが得意だった。 惣菜とか弁当とか野菜とか、どこかに暗くて狭いところにしまい込んで忘れてしまう。 腐らせるのがものだけかと思ったら、自分のことも腐らせてしまった。 ものは動くための手足がないからなすすべ…

『デビルマン Crybaby』の感想、あるいは幼い飛鳥了はなぜ泣いていたのかについて

はじめに 遅ればせながら『デビルマン Crybaby』を観まして。 率直に言う。泣きました。 素晴らしかった。 というわけで感想を書きたいのですが、もちろんすでにたくさんの方が感想を書かれているので、あんまり言及されていないように見えるところにしぼっ…

歯を食いしばる90分間。『クワイエット・プレイス』の感想について

主演:釘 その他大勢(人とかモンスターとか) はじめに 『クワイエット・プレイス』を観てきました。90分間、観ている間ずっと歯を食いしばっていました。 緊張がすごかった。最初から最後まで恐ろしく、そして、面白かった。 突如襲来した怪物によって人類が…

『呪術廻戦』をジャンプのHUNTER×HUNTER・BLEACH枠と呼んだ私が全裸で土下座してから腹を切ることについて

大変失礼いたしました、と謝罪から入るんですが。 1巻のときまで、表題のようなことを不遜にも考えていた。で、2巻を読んだ。 枠とか代わりとかそういう次元じゃない傑作であると、このときになってようやくわかった。まことに申し訳ありませんでした。 いや…

The bizarre is still here. 『岸辺露伴は動かない』2巻の感想について

はじめに 1年弱前のことなんですが、わたくし信者の方に刺される覚悟でジョジョシリーズの最新作『ジョジョリオン』をクソミソにけなす記事を書きまして。 要は戦闘が全然面白くないのも含めて読者が置いてきぼりになってないか、って内容だったんですけども…

京極夏彦作品に感じる違和感とフィクションにおけるイカレポンチの扱いについて

はじめに 2~3月にかけて狂ったように京極夏彦の『巷説百物語』シリーズを読んでいた。 面白い。ファンといってよいかもしれない。 しかしその一方で、実は、読みながら違和感を感じる瞬間があった。 それもたまにではない。多々あった。 俺はこの違和感につ…

『ゴールデンゴールド』4巻の感想と、「物語」の臨界を探ることについて

はじめに 『ゴールデンゴールド 』という異次元のように面白い漫画があって、3巻が出たときにこういう記事を書いた。 で、これを書いたとき、この3巻で作品としてのタメの時期は終わりかな、と思っていた。ここまでに十分に伏線が蓄積された感があったので、…

夢について2

俺はいま小学生で、友人が携帯電話を買うというのでそれについてきていた。 店は郊外のショッピングモールの一画にあった。俺は待合スペースの椅子に座りながら彼が契約を終えるのを待っていて、彼がこっちにやってくるのを見て立ち上がり一緒にモールを出た…

悪夢について4

俺は政府の要職で、他の高官たちと一緒にある国との会議に参加していた。 その国の会議室で、俺たちは相手から敵意のないことを示せと求められた。何があっても抵抗できない姿勢で地べたに体を預け、こちらを完全に信頼していることを表せ、という。 不思議…

芸術は本当の本当にゴミなのかもしれないことについて。その1

はじめに いきなりで恐縮ですが、これまで31年生きてきて、けっこう小説とか戯曲とかを読んできました。ここで、俺の好きな作品の上位10作を紹介してみたいと思います(順不同)。 ・『告白』 町田康 ・『行人』 夏目漱石 ・『淵の王』 舞城王太郎 ・『ねじ…

異界とはどこにあるもののことか。『全滅領域(サザーン・リーチ1)』の感想について

はじめに 最初にことわっておかないといけないことがあって、実はこの記事、作品を強くおすすめする記事ではないのである。 もちろん面白い本ではあって、良かった点もちゃんと紹介する。 しかし、一方で、最後までぬぐえない違和感もあって、興味を持ってい…

レベル100の「あんたすごいの憑けてきたね…」にありがちなこと。『ぼぎわんが、来る』の感想について

はじめに 妻一人子一人、平穏で幸せな家庭を築いた男性を襲う、正体不明の怪異「ぼぎわん」の恐怖を描くホラー小説。 バカにしたようなタイトルを記事につけてしまったが、すごく面白かった。 この小説は基本的にネット怪談でよく見るフォーマットに見事にの…

シャチの挨拶と菩薩の拳、あるいは0.9でもいいじゃないかと思うことについて

はじめに www.cnn.co.jp シャチがハローと言ったようである。 本人は自分が何を言ったのかわかっていないらしい。しかし、人間にハローと言うと人間もハローと返してくること、人間が遠くにいるときにハローと言うと人間がこっちにやってくることがわかった…

加入したまま忘れていたAmazonプライムの年会費を返してくれた件について

はじめに 今日クレジットカードの請求書を見ていたらAmazonプライム年会費3,900円という項目があって、「ありゃ?」と思う。 記憶を懸命にほじくり返した結果思い出したのは、以前Amazonで買い物をしたときに、プライム会員のひと月無料キャンペーン中で加入…

乙でした。『へうげもの』最終巻、25巻の感想について

はじめに 第1話で、松永久秀という武将が平蜘蛛という家宝の平たい釜を抱えて自爆して、城ごと釜が爆散。主人公・古田織部は飛散した破片を鎧を着たままダッシュで追いかけて空中キャッチしていた。 なんだこれは…。すげえと思うしかなかった。 その後、信長…

夢について

自殺した有名なミュージシャンが作ったある曲がリバイバルされて、最近いたるところでかかっている。 曲はCMや映画のタイアップに使われたり、今のアーティストにカバーされたりして、耳にしない日がない。 俺は死んだミュージシャンのこともその曲のことも…

『池の水ぜんぶ抜く』第5弾の感想と、炎天の下、稲穂の海を行けるところまで行くことについて

はじめに 高校生の夏休みに、帰省先の山梨で、突き抜けたような青空の下をひたすらチャリンコで行けるところまで行ったことがある。 そういうイベントは小学生の頃か、せいぜい中学生までにすませておくべきだと思うけども、ともかくそういうことがあったの…

貴志祐介作『ダークゾーン』の感想と、デスゲームを面白く描くことの難しさについて

はじめに。『ダークゾーン』の感想。 なかなか良かったのではないでしょうか。 と言っても、前半が最高に面白くて、途中相当中だるみして、最後盛り返す、というアップダウンがあったので、「平均すると」なかなか良かった、という感想が正確なところです。 …