惨状と説教

誰か山から降りてきてほたえてから山に帰っていく記事。ブログ

悪夢について2

知人から犬を預かった。むくむくしたぬいぐるみのような小型犬で、よく知りもしない俺のことを嬉しそうに嗅ぎまわって後をついてくる。俺も楽しくなって、よせばいいのに友達と路上でサッカーをするのにその犬を連れていった。 犬は跳ね回るようにして俺と…

植物すごいぜと思うことについて

昨年末に植物の鉢を一つ買った。 きっかけは、BRUTUSで植物の特集をやっていて、アホのようにそれに影響されたからである。ちなみに、この特集自体はしゃれおつな写真とわかりづらい専門用語ばかりの解説とあたりさわりのない紀行文とが寄せ集められた、いか…

カブトなし。クワガタほぼなし。それでよし。『きらめく甲虫』の感想について

昆虫が好きなのだが子供の頃はもう今の比ではなくて、狂ったように山野を網を振って走り、即席のヒシャクのような道具をこしらえて水中をかき回したりしていた。 昆虫にも色んな種類がいるわけだが、そんな当時、甲虫の特別さときたらすごかった。花の中に全…

友人同士のお笑いコンビについて

友人同士で結成されたお笑いコンビが好きで、コンビ仲など良いと大変ほほえましい。ダウンタウンとか。さまぁ~ずとか。 実際のところはそうずっと仲良くもしていられないと思うのである(さまぁ~ずは本当に仲よさそうだけど)。 ファンの人に具体的な仲良…

映画版『無限の住人』の感想について

はじめに 正直、わりと良かったんじゃないでしょうか。 俺は15年前に原作を読み始めて完結まで追ったファンですが、作品の内容をかなり忠実にふまえ(この忠実さには思うところもありますが、後述します)、出演者の演技も殺陣も素晴らしかったと思う。漫画…

悪夢について

何をしていたのかわからないが職場にいたら、隣で役員と話をしていた会計課の課長が突然、「はい! はい! 少々お待ちください!」と叫ぶと、命令された、というより社会人としての義務感、といったような切迫さをあふれさせながらこちらに飛んできて、俺の…

アレクサンドロス、この圧倒的捕食者。『ヒストリエ』10巻の感想について

※以下、作品の内容について激しくネタバレしています。注意。 はじめに 表紙をめくって現れた絵を見て、思わずそのまま見入ってしまった。 顔と体に敵兵の血を浴びたアレクサンドロス。その表情が、もうなんか凄い。こいつとはもう話が通じないというか、こ…

『BLUE GIANT』10巻の感想と、破壊されるために生まれてくる者たちについて

※以下、作品の内容について激しくネタバレしています。注意。 はじめに いきなり『BLUE GIANT』と関係ない話から入って恐縮なんですが、以前、鬼頭莫宏の作品の感想を読んでいてこんな意見を見かけたことがある。「鬼頭作品に登場するキャラクターは、作者に…

『極楽とんぼの吠え魂』復活に寄せることについて~放送当日編~

目の前の相手を「こいつ人として終わってんな」といつ思うかというと、ギャンブルで借金があることを知ったときでも家族や恋人に暴力を振るってることを知ったときでもなくて、そいつが自分の笑いのルーツを語り始めたときに思う。 「俺が面白さを感じるもの…

京都の室生口大野駅から室生寺まで徒歩でいくと何分かかるかについて(別手段との比較あり)

はじめに~いいから歩きでいったらどんだけかかるのか教えろよ、という方に~ まず前提として、室生口大野駅から室生寺まで行くのには、車道を行くルートと東海自然歩道という未舗装のルートがあります。 以下を読んでいただくとわかるのですが、この記事を…

予告編に偽りなし(良くも悪くも)。映画『ドクター・ストレンジ』の感想について

■目次 はじめに あらすじ 感想~映像がすげーというそれ以上でもそれ以下でもない話~ その他雑多な感想~モルドdisとヒロインを褒めたりとか~ おわりに はじめに ビルや地面という本来動かないはずのものが、複雑に交差してうねり倒れかかる。鮮やかな炎が…

あの道の続きに。『伊豆漫玉日記』の感想

■目次 はじめに~桜玉吉と出会う今から11年前の話~ 『伊豆漫玉日記』の感想 おわりに~桜玉吉と出会ってから11年後の話~ はじめに~桜玉吉と出会う今から11年前の話~ 俺は現役での大学受験に失敗した。1年間の浪人生活を送ることになった。 家と予備校を…

『双亡亭壊すべし』3巻の感想について(?)

■目次 (太ももの)はじめに まとめ(太ももの) はじめに~3巻のあらすじ…?~ お化け屋敷破壊漫画『双亡亭壊すべし』第3巻。 建物に潜入した霊能力者に絵描き、役人の破壊者チームも館の魔の手によって順調に(?)無力化されていく。しかし、悪化し続ける…

死線に挑む、『LIMBO THE KING』の感想について

はじめに~俺が思う田中相について~ 田中相さんは「越境」を描く漫画家さんだと思っている。勝手に。 自分と他人。 人間と動物。 人と神。 自分の知らないどこか、自分とは違う何者かに向かって一歩踏み出すことを描く作家さんだと思う。 新作、『LIMBO THE…

「最強」の定義、映画『オアシス:スーパーソニック』の感想について

はじめに 自分を変えることのできる特別な人たちが、いったいどれだけいるのだろう? 変わった生き方を許される人生が、いったいどれだけあるというのだろう?…『Champagne Supernova』 どうすれば生きている実感が手に入るのか、見当もつかない いったいど…

貴重な「野蛮」漫画、『トリコ』43巻の感想と完結に寄せることについて

はじめに 少年ジャンプでやっていた『トリコ』が、先日最終巻となる43巻を発売し完結を迎えた。まあ週刊連載では数ヶ月前に終わっていたけど、単行本派なので、「あ、終わった」という気持ちを抱いたのは本屋で43巻の表紙を見たときだった。 『トリコ』には…

バカですみません、『へうげもの』23巻の感想について

(はじめに。非常に不遜な記事です。『へうげもの』ファンの方は、どうかご勘弁願います…) 「最近の『へうげもの』、まあ面白いんだけどさ…」 「登場人物が前より増えすぎたというか…」 「誰に注目していいかわからないというか…」 「なんつーか、昔はもっ…

『鬱ごはん』1巻の感想、もしくは自意識とかいう煮ても焼いても食えないものについて

「2m?」 旅行先の青森で入った寿司屋で、勘定に出てきた店のおばさんが言う。一瞬意味がわからなかったが、 俺の身長のことを言われたのだと気がつく。 「そんなにないですよ。そのー、雪道でも平気なように底が高い靴を履いてるんで」 「あ、それがプラス…

『海流のなかの島々』の感想、もしくは自分に「殺される」ことについて

人生で自分のことしか考えてこなかった。 いまも自分のことしか考えていない。 さすがにそれを表に出してはいないけれど、俺のそういう自意識が放っている、一種悪臭のようなものに、周りの人は気がつくものなのだろうか。 少なくとも、家族や親しい友人や勘…

心地よい場所を目指してゴー。『動物たち』の感想について

幻想紀行、とでも言ったらいいんだろうか、不可思議な世界を旅することをテーマとするジャンルが俺の中にある。 それフツウのファンタジーじゃん…というと違くて、このジャンルの特徴は、作中で描かれる異界の理屈、常識を、こちらの常識と近づけようとする…

不時着…「航空機が故障・燃料不足・悪天候などのため運航不能となり、目的地以外の場所に着陸すること」について

今日こちらに来ると言っていた知り合いから電話があったので出てみると、来る途中で乗っていた飛行機が不時着してしまったのだという。 「え?マジですか。大丈夫すか」 「うん、大丈夫大丈夫。でさ、見に来る?飛行機」 「え、不時着したやつですか?」 「…

クズの地平から見えることについて

twitterを見ていたら、最近の社会人に仕事でありがちなことについて意見が交わされていて面白かった。 簡単に言うと、 社会人A「最近の社会人(部下、もしくは取引先など業務上接点のある人)は、仕事を頼んでも言われたことしかやらず、自分でその先を考え…

アメリカ大統領選でフツーにアホのように驚いただけのことについて

ドナルド・トランプが次期アメリカ大統領だという。職場で昼休みに点いていたテレビで「優勢」のニュースを観て、夜帰宅したら決着していた。 驚いた。 俺は30になったが、世間の人がちょっと引くぐらいものを知らないので、俺の中でアメリカ大統領選とはメ…

イモムシ、もしくは世の中はちゃんと気持ち悪いことについて

今朝歩いていたら、歩道のわきにイモムシがいた。 サツマイモのような色としっぽのトゲが毒々しいやつが、ずんぐりしながらそこでじっとしていた。 俺は、うわー、などと言いつつ歩くのをやめ、かがみこんでその姿をしばらく眺めていた。 虫が好きだがイモム…

サマーソニック2016の感想について(サカナクション編)

はじめに ソニックマニア2015最高! perfumeかわいい! マンソン、プロディジーカッコいい! 2016年も最高のアーティストの演奏で夜通し踊りたい! って、あれ…? 「2016年ソニックマニア中止のお知らせ」 … サマーソニック2016、サカナクション参戦決定! ……

ポケモンGOを通して思った「オタクを嫌うオタク」について

ポケモンGO界隈で様々な情報に接しながら、ある感情を抱くことが多くなった。同属嫌悪である。そのことについて書く。 俺はオタクなので、その憎悪が向かう先は同じオタクということになる。 最近ポケモンGO関連で「オタクうぜえよ」と思う機会が二度ほどあ…

ポケモンGOについて①

俺のダウンロードしたのはドードーGOだったのか、というぐらいドードーばかり出るが、たまに出るレアポケ、CPの高いポケモンにテンション上がりつつ、ポケモンGOをそれなりに楽しんでいる。 ただ、プレイしていて、広く楽しむためには、というかジム攻略する…

『双亡亭壊すべし』1巻の感想について

先日御茶ノ水に行ったら書泉ブックマートがABCマートになっていた。閉店したのは去年の9月で、ニュースにもなっていたようだけど全然知らなかった。 本の街で本屋が潰れる時代か。amazonの功罪、とか勝手に5分ぐらい考える。 確かに、俺は本も漫画もほとんど…

『クリーピー 偽りの隣人』の感想について(良かった点、総括編)

『クリーピー 偽りの隣人』はウンコである。ウンコ映画である… という感想を観終わって抱いて、その理由を整理しているうちに迷走して、「なんじゃかんじゃ面白かったです」と白状している現状である。 というわけで、ここからは良かった点及び雑多な感想で…

『クリーピー 偽りの隣人』の感想について(あらすじ、ウンコポイント編)

『クリーピー 偽りの隣人』はウンコである。ウンコ映画である。 というのが観終わった当初の感想だった。というか観ているときからそう思っていた。それは偽らざる。 映画を観終わった俺は、なぜ自分はこれをウンコと感じたのか?ということをあらためて考え…

もー別にいらなくないっすか?ということについて

もー別にいらなくないっすか?この手の報道。 心配だなあ、と思ってて、でも自分がそういう感情を抱かされること自体がわずらわしくて。 もうさ、意味なくねえですか?知ってどうできるわけじゃねえんだから。知らされた側から何が起こるわけじゃねえんだか…

桜の木の下には何も埋まっていないことについて

天気がいいので野川公園に『スティール・ボール・ラン』を持っていってそこで読んでいた。公園近くのコンビニで買ったポッキーと缶コーヒーを手に、どんどん読み進める。 「ジャイロォォォ!」 「ジョニィィィィ!」 アメリカ大陸横断レースと聖人の遺体を巡…

独我論は嘘であるとわかったことについて

「自分以外の人間はすべて心を持たないロボットである」。 そんなことを考えてみたことはあるだろうか。 人間の心は目で見たり手で触れたりすることができない。 なので、自分以外の誰かが泣いていても笑っていても、そこに心があるかどうかは、実は本当には…

どうしようもないこと、もしくは『そこのみにて光輝く』の感想について

生き物として逃れようがないこと、どうしようもないことが好きだ。 好きというか、目が離せなくなる。 絵本の『はらぺこあおむし』が好きで、生まれたばかりのあおむしがとにかくお腹がすいてしかたがないので一週間手当たり次第色んなものを食いまくる。食…

こま切れになったわたしたち、あるいは申し訳程度の『暗闇の中で子供』の感想

希望がない。 というとなんだか沈鬱な感じがするけど、それほど深刻な話じゃない。 自分はこうなりたいな。 周囲がこうだったらいいのにな。 そういう望みがあまりないという話だ。 人間の希望。俺が希望に対して抱くイメージは、希望を持つその人たち自身の…

『ゴールデンカムイ』1巻の感想について

一時期、山に関する小説を好んで読んでいた。 熊谷達也の『邂逅の森』、坂東眞砂子の『山妣』など。山という場所がいかに人にとって恵みに満ちた場所かを知る中で、特に興味深かったのが熊に関する記述だった。 肉や毛皮はもちろん、熊はその胆嚢にものすご…

『皇国の守護者』3巻の感想、あるいは軍人とJKの共通点について

尊大と卑屈の調節ができない。 他の人に対してやたら上からになったり、逆にへつらうようになったり。後から自分のそういう態度を悔やんで、うーん、とか言ったりする。仕事帰りの電車の中や自室の隅とかで。 なので、素直に他の人を認める、ということがで…

『黒博物館 ゴーストアンドレディ』の感想、もしくは単にフローレンスかわいいぜ、の話

看護婦。女性看護師。 なんのとは言わないが、一大ジャンルであると思う。 俺は特に好きではないけども、「ああ、なるほどね」と思わせられる体験があった。 入社当初、総務課長に健康診断の提出を求められて正直に「ないですね」と答えたところ大型犬の横ツ…

ソニックマニア2015の感想について Prodigy、電気グルーヴ編

音楽イベント観に行くのを「参戦」とか言いだしたら人間もう終わりだな、と思っている。 なんかわざわざ人に言って聞かせてる感じがするじゃないか。うるっせーつぅんだよ。どうせ俺には一緒に行く相手はおろかそういうこと言う知り合いもいねえよ、ってんで…

ソニックマニア2015の感想について Perfume、Marilyn Manson編

音楽イベント観に行くのを「参戦」とか言いだしたら人間もう終わりだな、と思っている。 なんかわざわざ人に言って聞かせてる感じがするじゃないか。うるっせーつぅんだよ。どうせ俺には一緒に行く相手はおろかそういうこと言う知り合いもいねえよ、ってんで…

『黒博物館 スプリンガルド』の感想、もしくは単に学芸員さんかわいいぜ、の話

雪の降る中を、一人で箱根の彫刻の森美術館に行ったことがある。 美術館と言っても、室内ばかりに作品を展示しているわけではない。広い敷地の中、建物から建物へと移動する間にもオブジェが設置されている。広い芝生などもあるため、美術館というよりは公園…

27時間テレビで思ったこと、もしくは笑うことに関する整理について

※27時間テレビ全体の感想を期待されている方、フジテレビはクソテレビ局でお台場にあるあのでっかい玉の中いっぱいにたぶんゴミが詰まってる、みたいな内容を期待されている方、いらっしゃったらたぶん肩透かしです。すみません。 『牡丹灯籠』という落語が…

『秋津』1巻の感想、もしくは「ギャグ漫画に生かされているもの」について

中二病なので有能な二枚目がカッコつけて派手に必殺技かまして世界を救う話が好きである。 中二病なのでパッとしない地味男が実は結局有能で結局二枚目であり、しゃかりきになって機転を利かせて何かを救う話が好きである。 中二病なので特になんの長所もな…

『皇国の守護者』2巻の感想、もしくは課長 新城直衛について

今年度の「新入職員にきいた上司にしたい有名人」の1位は、男性が松岡修造で女性が天海祐希だったらしい。 松岡修造が職場で俺の課の課長席にいることを想像してみる。確かに良いかもな、と思う(今の上司に不満があるわけでは断じてないけど)。 自分の席と…

『おしえて! ギャル子ちゃん』2巻の感想、もしくはアラサーの社会人がスクール水着の夢を見るかについて

中学校まで水泳の授業は男女合同だった。 何年か前、テレビのバラエティでグラビアアイドルにコスプレをさせてその写真を撮る、みたいな企画をやっていて、チュートリアルの徳井義実がスクール水着の川村ゆきえにつけた「みんなの中で自分だけ発育がよくて恥…

『皇国の守護者』1巻の感想、もしくは6巻発売を待つ日々について

これからある漫画についてベタ褒める記事を書く。 たくさんの人がすでに評価している作品だ。それも、何年も前に完結している。 でも、作者の最新作の感想を書くにあたってこちらをなんとなく読み始めたところ、先にこの作品について何か人に伝えるための場…

『おしえて! ギャル子ちゃん』の感想、もしくは彼女たちの15年間について

高1のある日、教室から出た俺が下の階に降りようと階段に向かうと、上り階段の方に誰かが一人が腰かけて、携帯電話で誰かと話をしていた。 それは学年に何人かいるギャルのうちの一人だった。髪の毛を思いっきり茶髪にして、メイクして、うちの高校は私服だ…

『淵の王』の感想の続き、もしくは俺らが今いるべき場所について

小さな白い光が闇の渦の中に一本すうっと光線を伸ばしている。 私たちはその光の道を進まなくてはならない。 舞城王太郎の『淵の王』について、前の記事で紹介した。 俺と『淵の王』について - 惨状と説教sanjou.hatenablog.jp 今回は、前回触れなかった『淵…

『淵の王』の感想について

「……それが普通だよね」 「それが普通だよ」 「結婚前なら、まだ耐えられるかな?」 「……私はね、あんたに私のこと好きになって欲しいんだよ。私だけのことを。それも中村悟堂だけにね」 夢中で読んだ。職場最寄駅構内にある啓文堂で買って、電車の中で読ん…

はじめに

ここ4年間くらいの記憶がないのである。 俺は1年の留年を含め5年通った大学を卒業し、そのまま社会人になった。4年前のことだ。 大学の頃の記憶もかなりあいまいなので都合9年間くらい覚えていることがいい加減な期間があることになるが、それにしても勤め始…