『おしえて! ギャル子ちゃん』2巻の感想、もしくはアラサーの社会人がスクール水着の夢を見るかについて

 中学校まで水泳の授業は男女合同だった。

 何年か前、テレビのバラエティでグラビアアイドルにコスプレをさせてその写真を撮る、みたいな企画をやっていて、チュートリアル徳井義実スクール水着川村ゆきえにつけた「みんなの中で自分だけ発育がよくて恥ずかしいみたいな感じで」という注文を聞いてゲラゲラ笑っていた記憶があるが、よく考えればそういう微妙な時期であって、よく考えればまあすごいと思う。
 
 同じクラスの中に好きな娘がいたので、彼女の水着姿が鮮明に記憶に残っていても不思議じゃないが、実際には見た覚えはない。
 中学生の時点では恋愛と好きな人の肌を見たいというエロとがうまく接続されていなかったのかもしれないが、俺はスイミングに通っていたので、女の子の水着とかそもそもそんなに珍しくなかったのも大きい気がする。
 俺(の視界)は、女子の水着姿を見るときにエロのフィルターを噛ますようにできていなかったんだろう。
 
 …で、こっから『おしえて!ギャル子ちゃん』2 巻の感想なんだけど、なんでこんな話から最初にしたかというと、これは要は言い訳をしたんであって。俺個人に女子のスク水に対する根深い嗜好があるわけじゃないんすよ、っ て話であって…。
 すみません、今巻、女性キャラ見開きでスク水勢ぞろいのページがあるんですが、凝視してしまいました。
 
 見てしまった。一人ひとり。「ふーん、ギャル子(主人公)はプール上がりこうなるのか」「へえ、お嬢(ギャル子の友達)は泳ぐときおさげにするのだね」とか。
 
 ふーん、じゃねえから。するのだね、じゃねえから。という。
 
 工場のラインで「スクール水着」が流れてきたら淡々と「NOTエロ」の方の箱に仕分ける、定時に仕事を上がり家で枝豆をつまみにビールを飲む…そんな何気ない日々が、このとき破綻してしまった。
 じゃあ、今後グラビア見ててスクール水着が出てきたら堂々と鼻息荒くするかっていうとそうはならないと思うけど、まあ俺の嗜好とかどうでもいい。要は、鈴木健也(『ギャル子』描いてる人)の描く女の子かわいいね、って話なんだ。罪つくり。
 
 あと、今巻はお嬢の巻でもあると思う。
 この漫画はギャル子とオタ子(ギャル子の友人)の会話だけでそれなりに話が進んじゃうので、もうひとり仲良しトリオのはずのお嬢の立ち位置微妙?と思うことが、これまであった。
 でも、今巻を読んで思ったのは、友だち同士には普段一緒にいてバカやってるヤツが時々見せる「あれ?こいつ実はけっこうすごいぞ?毎日をマジで生きてるぞ?」ってのが実感できる瞬間、そいつの積み重ねてきたものがわかって焦るんだか嬉しいんだかな気持ちになる瞬間があって、その役目がこの漫画ではお嬢だということだ。
 前巻のレビューでも書いたけど(『おしえて! ギャル子ちゃん』の感想、もしくは彼女たちの15年間について - 惨状と説教)、お嬢やっぱりいいキャラだと思った。っていうか単純にかわいいし。特にプール上がりのおさげが…。
 
 最後に。今巻は最後にギャル子とオタ子のケンカ2回戦を収録。
 正直、Web上で読んでたときはギャル子の言い分があまりわからなかったんだけど、単行本で読むとなんとなく腑に落ちるところはあった。
 それでも、先に謝れたオタ子は偉いと思う。俺は、親しい友だちとか家族の間のケンカってどっちが悪いか決めるのがけっこう難しいところがあると思っていて、普通に一般常識で判断できない部分があるというか、極端な話、「やったことや言ったことが正しかろうが、相手を怒らせた方が悪い」という理屈が通用しちゃう部分もある…ような気がする。だから、絶交になることへの恐れよりも自分のプライドを守ることを優先できてしまうなら、最後まで相手を許さなかった方がある意味では勝つ。その二人の世界においては。
 
 だからこそ、そこにちゃんと一般的な感覚を持ち込んで自分の非を認められたり(そういう意味で、1巻でのケンカのときお嬢は良い仕事をした)、「どー考えても俺は悪くねえ!」ってときも自分から折れてみせることが尊いんだと思う(超難しいけども)。
 要は謝れるのが偉いってことで、もちろんなんでも謝ればいいってもんじゃないだろうけど、オタ子は偉いな、と思ったんだった。少なくとも俺は2週間くらい許さないと思う。
 
 新キャラも増えてきて、色んなとこで色々ニヤニヤできる。単行本用の追加挿絵、エピソードありで、Webで追ってる人でも楽しめるはずです。おすすめ。