惨状と説教

誰か山から降りてきてほたえてから山に帰っていく記事。ブログ

2019年4月6日について

 田舎に帰っている。天気がいいので、読んでいる本の続きは庭で読むことにした。
 乾いた芝と、まばらというには繁って生えすぎた青々した雑草が日の光を浴びている。庭というより、どこかの山野の風景に見えた。
 人家の一画のように見えないのは、思い出の中にある見た目と少しだけ違っているせいもあるだろう。以前は片隅を耕してわずかな野菜を育てており、その姿が目に入ってきたものだが、住んでいる家族が一人二人亡くなっていくうちに誰も手を入れなくなった。昔の耕作の名残はなく、ひときわ背の高い、名前を知らない雑草が、群れて白い花を咲かせている。
 視界の隅で、テントウムシの幼虫が芝の葉にくるくる沿うように遊んでいた。指でからかうと人差し指の動きのままにはって登ってきた。
 テントウムシの子供の見た目はおかしい。灰がかった青色に橙の点々、抜いたばかりの毛のような黒々したしっかりした足を持つ、奇怪な姿をしている。
 それにしても、爪の先ほどの卵からかえってここまで育つのに、さぞかしたらふく他の生き物を食っただろう。そう思ってから庭にテントウムシを返し、芝の上に置いていた本を再び手に取ったら、アリマキが緑色に潰れて死んでいた。テントウムシはこのアリマキを食う。
 私道沿いに植えた木蓮に、野放図に開いて鳥のようになった深い紫色の花が咲いていた。向こうに青い空が広がっている。飛行機が長く雲を引きながら飛んでいる。風が強い。少し目を離してもう一度見たら、雲は吹き流れてもう見つからなかった。