今週のお題「読書感想文」
はじめに
評価は次のように行います。
まず、総評。S~Dまでの5段階です。
S…価格、提供される媒体に関係なく手に取るべき。恐怖のマスターピース。
A…購入推奨。もしくはkindle unlimitedにあればぜひ勧める。恐い。
B…購入してもよい。もしくはkindle unlimitedにあれば勧める。
C…図書館で借りる、もしくはkindle unlimitedなら読んでもよい。
D…読むだけ時間のムダ。ゴミ。(少なくとも俺には)。
続けて、本の中で印象に残った作品を評価します。
☆…それ一品で本全体の価格を担保できてしまうような作品のレベル。
◎…一冊の中に三品以上あると、その本を買ってよかったと思えるレベル。
〇…一冊に七〜八品あるとその本を買ってよかったと思える作品。
最後に、あらためて本全体を総評します。
こういう書き方をするのは、初見の人に本を勧めつつ、できるだけ先入観を持たない状態で触れてほしいからで、評価が下に進むほど、ネタバレしてしまう部分も増える、というわけです。よければ、こちらもどうぞ。
総評
C。
平山夢明/加藤一作。2006年刊行。
『超』怖い話シリーズ第8弾。いかにも実話怪談、という感じの、とらえどころのない話が多く集まっている。
各作品評
鼠撒き…〇。んなアホな、という感じだが、第一作である『「超」怖い話A』に登場した『タラコ』と同じように、怖がらせるためには荒唐無稽を恐れてはいけない。
ボール神…〇
森…〇。意外なところに着地するのが良い話。
ひきぬくにくいくび…〇。わけのわからないバイト、ということで、別シリーズである『東京伝説』感も少しある話。
口笛…〇
あらためて、総評
本としての出来は悪くない。そして、良くもない。
総評で述べた「実話怪談らしい」という表現は必ずしも褒めていないものだ。というのは、ある程度あらすじが意味不明でオバケの登場が理不尽であれば、怪談というのはなんとなく「今風」になるものだからだ。
しかし、単に今風なだけの作品は要らない。
そういう作品が続くと読み手は、「ああ、まあ、それっぽいね」という自らの反応の繰り返しによって、次第に無感覚になる。読書に作業感が出る。
そういう本なら山ほどあるのだ。『「超」怖い話』には、読み手をそうさせない文章の鮮やかさ、伝わってくる情報量、つまり迫力があったはずだ。
Cをつけたのはそういう理由である。
第16回はこれでおわり。次回は、『忌印恐怖譚 みみざんげ』を紹介します。以上、よろしくお願いいたします。