2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

今日、脳から捨てたものについて ⑧

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの ・回れぬ者は死 テクモが発売した『がんばれギンくん』というゲームの中の「カレーの王様」というミニゲームにおける、王様の周りを飛びながら周回するというルールを表したもの。 『がんば…

今日、脳から捨てたものについて ⑦

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの ・おみそ ゲームには参加しつつ、鬼ごっこの鬼にならないなどの優遇を受けている者。1980〜90年代には存在したが、いまでもまだあるのだろうか? ・おみそデッキ 本田はおみそであった。 そ…

『ゴールデンカムイ』30巻の感想について

30巻。次が最終巻とのことで。 ここまで、めちゃくちゃ重厚な物語を読ませてもらってきた。2014年連載開始だから、ものすごく長期連載ってわけじゃないんだよな。 でも、作者はもちろん、登場人物の一人一人にお疲れ様と言いたくなるこの感覚。 堪能した。見…

話を盛ってるとしても/これ自体は嘘だとしても、というのは危険であることについて

今のタイミングでこの話題に冷や水を浴びせるようなマネをしても、俺がパブリックエネミーになるだけだろう。 そもそも気勢をそぐことが目的でもない。 だから、具体的な例は挙げず、一般論として書いておく。 何かを告発したり、糾弾したりする発言があって…

子どもを見たときと映画の暴力シーンで笑うことについて

以前、猫の柄はなぜ頭や背中についていてお腹や足先にはついていないのか、というネットの記事を見ていたとき、「絵の具を上から垂らすようについていくものだから」と説明してあって、もう一つ腑に落ちなかった記憶がある。 納得いかなかったのは、これが解…

複雑さについて

インターネットを利用した選挙工作に関する本をいくつか読んでいる。 その中で興味深かったものに、『ディープフェイク』という書籍で紹介された、Internet Reseach Agency(IRA)というロシア企業による「荒らし」作戦の一つがある。 ロシア政府との関与が…

『ここは今から倫理です』7巻をふまえて、正しく生きることについて 2/2

ここまでの話 生活していると、いくつかの「正しさ」が自分の中でぶっつかることがある。 sanjou.hatenablog.jp 続き。 それぞれ基準の違う「正しさ」が自分の中で喧嘩したとき、どれが優先されるべきか。 哲学者のカントは、「殺人鬼から追われている友人を…

逆について

『いいね! 戦争 兵器化するソーシャルメディア』(NHK出版)という本にフェイクニュースに関するエピソードがたくさん紹介されていて、その中で特に興味深いものがあった。 ところで、フェイクニュースの本場というとロシアという感じがする(インターネッ…

自分というのは、思った以上にどうでもいいものなのかもしれないことについて

何ヶ月か前に、ウクライナの難民を支援するためにUNHCRに5,000円を募金した。 もちろん、何かの助けになりたいという気持ちがあってそうしたのだ。ただ、もっと全然別のところで、大層に俗な背景もあって、たまたまそのとき余剰で動かしていた仮想通貨で儲け…

『ここは今から倫理です』7巻をふまえて、正しく生きることについて 1/2

はじめに 正しく生きることと、哲学と倫理の違いについて重要な巻だと思ったので書いておく。 内容としては、生徒個人に関するエピソードが三つと、今の学年の総括となる「なぜ人を殺してはいけないのか」のディスカッション、最後に高柳が学生だった頃の思…

正しくやり直すこと、『マンソンファミリー』の感想について

はじめに 村上春樹の『羊男のクリスマス』はおおざっぱに言うと呪いを解く話だった。 そこで描かれているのは、間違ったことをしてかかった呪いは、同じようなことを正しい方法でやり直さないと解けない、ということだ。 これはあらためて考えてみると、かな…

雑誌を読むのがヘタな人間について 2/2

sanjou.hatenablog.jp 続き。 雑誌を一冊、通しで読んだあと、面白かったんだかそうでもないんだかよくわからないことが多い。 で、文芸誌の場合、それはそもそも、全部通して読むからいけないんじゃないか、と。 仮説だが、あの手の雑誌で自分が面白いと思…

今日、脳から捨てたものについて ⑥

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの ・尿もれ 同年代の知人(男性)と話しているときに聞いた話なのだが、小用を足したあとに毎回尿もれするのだという。 「2、3滴?」と聞いたら「目薬のキャップ一杯分くらい」とのことで、そ…

雑誌を読むのがヘタな人間について 1/2

はじめに 『ユリイカ』と『現代思想』は、当月号の全論考を総括、冊子内のマッピングをする担当を誰かつくるか、冊子を読み始める前に最低限の知識を解説するパートを置くべきだと思う。こっちの知識が足りないせいって言われればそれまでだけど、正直、寄稿…

それでも「彼女たち」の物語。『裏バイト:逃亡禁止』7巻の感想について 2/2

sanjou.hatenablog.jp 続き。 7巻で登場した強大な怪異によって世界がやり直されてしまったため、主人公である白浜和美(ハマちゃん)と黒嶺ユメ(ユメちゃん)の二人は一度消滅し、再生された。 7巻の最後に登場する二人はつくり直された二人ということにな…

それでも「彼女たち」の物語。『裏バイト:逃亡禁止』7巻の感想について 1/2

はじめに ネタバレありです。 高校生の頃に『GANTZ』で 「あれってミッションで死亡しなかったら致命傷でも復帰するだろ。 でも、ケガが回復するわけじゃなくて、ケガを負う前の自分が呼び出されて置き換わるだけで、ダメージ負った方は消されるわけじゃん。…

生命、街、組織と個人について 2/2

はじめに 瞑想はたぶん、ちゃんとやり方を学んでやった方がよい。 sanjou.hatenablog.jp 続き。 職場のベテランが数ヶ月前に退職した。 二十年以上も現場に勤めていた人で、社内からも顧客からも信用が篤かった。仕事ができるだけでなく優しい人でもあった。…

今日、脳から捨てたものについて ⑤

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの ・ワシ、ぼられるの? 元ネタは『スナックバス江』。日本史の教科書に出てくる成金のような、いかにもな客がスナックに訪れた際、チーママの明美があいつから金をぼったくってやろう、と言っ…

生命、街、組織と個人について 1/2

生命の本質というか役目とは死ぬことなのだという、逆説的な考え方があるらしい。 これは命の一つ一つに注目しても見えてこない話で、一つの種族、あるいは種の境界さえも超えて、命の総体として見た場合にあらわれる視点だ。 まず、ここでは個体のことはい…

ヒーローの空虚と仮面がようやく裏返る。『劇光仮面』1巻の感想について 3/3

sanjou.hatenablog.jp sanjou.hatenablog.jp 続き。 そういうわけで、ようやく、強さとか衝動とか使命ではなく、もちろん善でも悪でもなく、「空虚さ」というヒーローの本質に焦点を合わせた作品が登場した。 『劇光仮面』、仮面の内側をさらけ出し、マスク…

ヒーローの空虚と仮面がようやく裏返る。『劇光仮面』1巻の感想について 2/3

sanjou.hatenablog.jp 続き。 前回は、ヒーローと呼ばれる存在の分類として、「継承」と「逆上」の二種類(もしくはその両方)があると書いた。 ここには道徳的な善悪は関係ない。銃撃事件の犯人もカルト宗教の教祖も、見る人によってはヒーローだ。 そして…

今日、脳から捨てたものについて ④

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの ・俺より歌うなよ 元ネタは千鳥の漫才、『チケット予約』。 ・それに触手は漫画家の人が自分で楽しむために描くもののはず… 『秋津』。謎のロシア人が自分の技量を偽って漫画家アシスタント…

ヒーローの空虚と仮面がようやく裏返る。『劇光仮面』1巻の感想について 1/3

注 暴力や差別を肯定するつもりはなく、「良さ」ってあやふやだよな、という話。 ヒーローって 『劇光仮面』、ヒーローがテーマの作品なので、ヒーローという存在について最近考えることから書いておく。 ヒーローというのは基本的に善の存在で、この世界に…

物語はこのループから抜ける(べきな)のか? 『アオアシ』28巻の感想について 2/2

sanjou.hatenablog.jp 続き。 では、作品はこのループから抜け出るべきだろうか? どうだろう。別にそのままでもいいような気もする。 ストーリーが続けば、いつかアシトはプロになり、日本代表になって、やがて海外リーグに挑戦するのだろう。 そのたびに、…

物語はこのループから抜ける(べきな)のか? 『アオアシ』28巻の感想について 1/2

28巻まで進んだ『アオアシ』という漫画が、ストーリーとしてもフィクションのフォーマットとしてもあまりによくできているので、少し意地悪く見てみた、という文章です。 青森星蘭との激闘を終えた主人公・アシトに、所属しているユースの上位組織であるプロ…

今日、脳から捨てたものについて ③

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの ・十勝甘味 とかち かんみ。サンドウィッチマンの音声コント『オールライトイッポン』に登場する和菓子屋(演:伊達)。和菓子屋になれと言われて和菓子屋を始める、サーファーになれと言わ…

今日、脳から捨てたものについて ②

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの ・計り知れないね、お前の家族って 元ネタは『ガキの使い』、村上ショージの教室シリーズ。なぜか、山崎邦正の父親に昔いじめられていたという設定であり、山崎が村上に歯向かった際にその父…

俺たちは悼むのがたぶん下手なのだと思うことについて

故人の周囲を傷つける内容、自死という行為、死への言及を含む文章です。 先日、亡くなった芸能人について報道のあり方が色々批判されている。 おそらくは自死だと思われるその方の情報について、守られるべきガイドラインに沿っていないとか、事務所の近く…