思うこと

子どもを見たときと映画の暴力シーンで笑うことについて

以前、猫の柄はなぜ頭や背中についていてお腹や足先にはついていないのか、というネットの記事を見ていたとき、「絵の具を上から垂らすようについていくものだから」と説明してあって、もう一つ腑に落ちなかった記憶がある。 納得いかなかったのは、これが解…

複雑さについて

インターネットを利用した選挙工作に関する本をいくつか読んでいる。 その中で興味深かったものに、『ディープフェイク』という書籍で紹介された、Internet Reseach Agency(IRA)というロシア企業による「荒らし」作戦の一つがある。 ロシア政府との関与が…

逆について

『いいね! 戦争 兵器化するソーシャルメディア』(NHK出版)という本にフェイクニュースに関するエピソードがたくさん紹介されていて、その中で特に興味深いものがあった。 ところで、フェイクニュースの本場というとロシアという感じがする(インターネッ…

雑誌を読むのがヘタな人間について 2/2

sanjou.hatenablog.jp 続き。 雑誌を一冊、通しで読んだあと、面白かったんだかそうでもないんだかよくわからないことが多い。 で、文芸誌の場合、それはそもそも、全部通して読むからいけないんじゃないか、と。 仮説だが、あの手の雑誌で自分が面白いと思…

雑誌を読むのがヘタな人間について 1/2

はじめに 『ユリイカ』と『現代思想』は、当月号の全論考を総括、冊子内のマッピングをする担当を誰かつくるか、冊子を読み始める前に最低限の知識を解説するパートを置くべきだと思う。こっちの知識が足りないせいって言われればそれまでだけど、正直、寄稿…

生命、街、組織と個人について 1/2

生命の本質というか役目とは死ぬことなのだという、逆説的な考え方があるらしい。 これは命の一つ一つに注目しても見えてこない話で、一つの種族、あるいは種の境界さえも超えて、命の総体として見た場合にあらわれる視点だ。 まず、ここでは個体のことはい…

倫理とマナーについて

エスカレーターの右側を、歩いて昇降する人のために空けておくというマナー?があまり好きではなく、というかマナーではないよな。鉄道の方は歩くな、と言っているのだから。 そう言いながら、実は急いでいるときは俺もそこを歩いてしまう。自分勝手だけど、…

2021年10月3日について

バナナマンのラジオ番組である、『バナナマンのバナナムーンGOLD』を聴いていたときのこと。 番組中で『部屋とYシャツと私』が紹介されていて、(MCの設楽も言っていたが)はじめて、ちゃんと歌詞を耳にする機会になった。 愛するあなたのため 毎日磨いてい…

2021年9月26日について

午前、歩いて15分ぐらいの距離の浜まで散歩に行く。 天気はかすかに曇天。まだ海に入れる気温ということもあって、人出は割りと多い。 しばらく海を見ていたが、立ったままでいるのが疲れてきたので腰を下ろし、その後肘を枕にして横になった。日光で温めら…

ヤクザと呪術師について ①

www.yomiuri.co.jp ある人が呪術師を名乗る者から「いま、お前に呪いをかけた」と言われた。 その人は非科学的なことには興味がなかったが、そんなことを言われて、なんとなく嫌な気持ちになった。 一年後、その人は重い病気を患った。 はたして、呪いは本物…

中の人がんばれ、と思ってしまうことについて

www.moomin.co.jp 企業が何かやらかしたり、一つのプロジェクトがご破算になったときに、倫理や善悪とは別の回路で「おおう…」と嘆息してしまうことがあって、つまりは、事業に携わっている「中の人」への同情なのだった。 今回の場合でいえば、提携を解消さ…

生き物と人間について

早めに夕飯を食べたら、20時過ぎたばかりのおかしな時間に睡魔に襲われてしまい、しばらく横になっていた。 まどろみの中で出どころのよくわからない音をずっと聴いていた。何かが硬いものにぶつかるような、かつ、かつという音だ(怪談ではない。念のため)…

じいさんの墓を潰すかどうかで考えたことについて(後編)

sanjou.hatenablog.jp ちなみに、前出のサイトでは故人にバーチャルの花を手向けたり線香をあげたりすることもできる。 なんだかなあ、いちいちデジタルで安っぽいんだよなあ、と「死んだら自我は消滅」派にもかかわらずウェットな感想をもちつつ呆れてしま…

じいさんの墓を潰すかどうかで考えたことについて(前編)

先日、祖父母の骨が納まっている墓の整理について母と叔母(ともに還暦過ぎ)と話す機会があった。 祖父は次男だったため、まだ存命中に自分のための墓を買い、死後はそこで眠ることになった(などと書いているが、俺は世事に疎いのでその辺の慣習をよく知ら…

会話について(サッカーボール編)

夕方、海岸で本を読んでいるときのこと。少し離れたところで、父親らしき男性とその息子と思われる8、9歳ぐらいの男の子が、サッカーボールでパスを回して遊んでいた。 少年はなかなかボールさばきが巧みだ。男性が蹴ってよこした球をつま先で受け、勢いを流…

シリアスな場面にぶち込まれるギャグはなんのためか、について

前回の記事の内容(下記)から、いくらか続いているんですけど、こんなことを思ったという話。 sanjou.hatenablog.jp 面白い作品は、マンガに限らず、シリアスの中に笑えるところが入っていることが多いと思う。 これは、その物語がいわゆるギャグパートと真…

狂った犬のように走ることについて

tonarinoyj.jp 『ゴールデンカムイ』の最新話まで無料公開、というすさまじいキャンペーンが始まっている(9/17まで)。 もちろん、これを契機にして最新の単行本を買ってくれれば、あるいはグッズを買ってくれれば、といった利益を見込んだうえでの判断だろ…

怠け者の使い方について

職場で割と大きなプロジェクトについて他の部署の人から説明を受けていたときのこと。 俺の部で管理職を務めている者の何人かが、説明の内容について枝葉末節をいじり回すようなケチをヘラヘラしながらつけるのが続いたので、なんとなく気持ちがイラ立ってし…

彼女/彼とそうじゃない新しいものについて

あるPodcastを聴くためにSpotifyに登録したら、アカウントをつくるときに確認される性別に男性・女性に続いてノンバイナリーの項があり、時代だなあ、と思った(揶揄も称賛もありません)。 当事者たちがこれで生活しやすくなるなら、いいことだろうと思う。…

俺たちは何年クリエイティブに寿司を握れるか、について ③

今週のお題「寿司」 sanjou.hatenablog.jp 実業家の堀江氏が以前語っていたところによると、従来は寿司職人になるのに10年間の下積み期間が必要とされていたが、寿司を握る技量を身につけるのに、本来はそんなに長い時間はいらないのだ、と。 一方、まったく…

俺たちは何年クリエイティブに寿司を握れるか、について ②

今週のお題「寿司」 sanjou.hatenablog.jp こういうものを書いた。 で、じゃあ未来の労働において最大の価値をおかれるのは創造性である、という世界が到来して、寿司屋になんの関係がある、という話なんですが。 ここでもう一つ加えて意識しておきたいのは…

俺たちは何年クリエイティブに寿司を握れるか、について ①

今週のお題「寿司」 と言いながら、まあ寿司自体にはよくて数%、世の中の何か実態みたいなものには、0.1%ぐらいかすっていたらラッキー、みたいな話なんですが。 何年か前、実業家の堀江貴文氏いわく「寿司の修行に何年もかける必要はない」という主張があ…

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の感想とか、90年代の雰囲気とかについて ①

はじめに いまさら『序』ですか。 そうなんです。 本当にいまさらだと思う。 理由を二つ挙げると、まず、もうすぐ新劇場版の完結編である『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』の劇場公開が終了するというのがあった(というか、多くの劇場ではすでに終わってい…

深更について

亡くなった祖母は「○○(俺のことだ)の前世は夜鷹だ」とよく言った。夜鷹というのは夜道で男の袖を引く江戸時代の娼婦のことで、俺が深夜に外を歩き回るのを好んだから、そう呼ばれたのだ。 特に目的があってそうするわけではなく、俺は0時~2時頃の街の雰囲…

会話について

職場に向かう途中の四つ辻にベビーカー、小さい男の子が乗っていて、お母さんらしき女性がその後ろに立ち止まってスマートフォンを見ている。道でも調べているのだろうか。 男の子が身をぐいぐい乗り出し、自分の前方に指を示して「う。う」と言う。「行け、…

日記について

海辺をランニングしていた。夕焼けがものすごい日で、西の空にのったりと広がった雲が夕陽をあますところなく受け止めていて、それが雲の隆起やうねりを複雑な色彩の反射によって照らし出していた。 その夕焼けを浜で見ていたら、若い女の子二人に夕陽を背景…

子どもについて

仕事の帰り道で横断歩道をわたってるとき、向こうから3~4才ぐらいの子どもが走ってきた。ずいぶん小さいのがいるな、と思っていたらその向こうにお母さんがいたのだった。 横断歩道を駆けていこうとするその子にお母さんが「止まって止まって」と声をかけて…

地元について

今週のお題「住みたい場所」 ということで。 23時前、ほろよいというリキュールのハピクルサワーフレーバーがいきなり飲みたくなって、コンビニまで探しに行った。売っている店舗を把握してはいないので、見つかるまでハシゴする覚悟だった。 かつての「住み…

京極夏彦作品に感じる違和感とフィクションにおけるイカレポンチの扱いについて

はじめに 2~3月にかけて狂ったように京極夏彦の『巷説百物語』シリーズを読んでいた。 面白い。ファンといってよいかもしれない。 しかしその一方で、実は、読みながら違和感を感じる瞬間があった。 それもたまにではない。多々あった。 俺はこの違和感につ…

芸術は本当の本当にゴミなのかもしれないことについて。その1

はじめに いきなりで恐縮ですが、これまで31年生きてきて、けっこう小説とか戯曲とかを読んできました。ここで、俺の好きな作品の上位10作を紹介してみたいと思います(順不同)。 ・『告白』 町田康 ・『行人』 夏目漱石 ・『淵の王』 舞城王太郎 ・『ねじ…