はじめに
評価は次のように行います。
まず、総評。S~Dまでの5段階です。
S…価格、提供される媒体に関係なく手に取るべき。恐怖のマスターピース。
A…購入推奨。もしくはkindle unlimitedにあればぜひ勧める。恐い。
B…購入してもよい。もしくはkindle unlimitedにあれば勧める。
C…図書館で借りる、もしくはkindle unlimitedなら読んでもよい。
D…読むだけ時間のムダ。ゴミ。(少なくとも俺には)。
続けて、本の中で印象に残った作品を評価します。
☆…それ一品で本全体の価格を担保できてしまうような作品のレベル。
◎…一冊の中に三品以上あると、その本を買ってよかったと思えるレベル。
〇…一冊に七〜八品あるとその本を買ってよかったと思える作品。
最後に、あらためて本全体を総評します。
こういう書き方をするのは、初見の人に本を勧めつつ、できるだけ先入観を持たない状態で触れてほしいからで、評価が下に進むほど、ネタバレしてしまう部分も増える、というわけです。よければ、こちらもどうぞ。
総評
B。
平山夢明/久田樹生/松村進吉作。2008年刊行。
「超」怖い話シリーズ第12弾。平山夢明は今作で卒業となり、同氏を含めた三人の作品が収められている。
各作品評
あらためて、総評
本としての出来は悪くない。そして、良くもない。それでも「Θ」よりは高く評価していて、各作品評で書いたとおり、ぽつぽついい作品はある。
なお、一冊に収録されているのが計30編というのは、実話怪談というジャンルにおいてはかなり少ない(30編で「少ない」のだから、つくづく異様なジャンルだ)。
つまり、1編が比較的長いということになるが、その分量を生かして恐怖を高められた作品は見受けられなかった。冗長なのだと思う。
あと、実話怪談におけるある種のタブー? みたいなものに触れつつ、一点批判しておく。
① 作品の前半でオバケの存在が匂わされる。
② ある日、その存在感が特別に高まる。
③ 満を持して、グロテスクなオバケが襲ってくる。
④ 体験者気絶する。気づくと〇〇にいた。
というのは、実話怪談における一つの黄金パターンである。
気絶したあとオバケは続けて攻撃してこないの? というのは言うだけ野暮で、この形式自体をどうこう言うつもりはないが、『「超」怖い話Μ』はそれが多すぎる。
本の中盤なんて、三つ連続でそういう作品が固まって体験者がそれぞれ気絶しており、当然、読み手としては恐怖を感じることはなく、ただ脱力した。
実話怪談なんて、そもそもが真偽の疑わしいセンサイな世界観なのだから、その点は配慮するべきだと思う。
第22回はこれでおわり。ちなみに、今回で平山夢明が関わる「超」怖い話のストックがなくなりました。お疲れさまでした。
次回は、『第三脳釘怪談』を紹介します。以上、よろしくお願いいたします。