2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧
天気がいいので野川公園に遊びに行った。 短い橋をわたり、川べりからわずかにあがったところで腰をおろした。ファストフードをかじっていたら、散歩中らしい色素のうすい日本犬が近づいてきて、俺の靴の匂いを嗅ぎ、それから肛門を見せながら去っていった。…
伊藤悠の漫画は好きなところがいっぱいあって、そのうちの一つに、本来立場が違う者同士の共感や、反対に元々は近しい者同士の精神的な離別がある。 『皇国の守護者』の新城とバルクホルンとの友軍敵軍の壁を超えた友情のようなものだとか。 『シュトヘル』…
怪談やオカルトの類が好きだ。しかし、性格的に難儀なところがあって、怪現象でもUMAでもできるだけ科学的検証に耐えうるものであって欲しいという願望から、かえって批判的な態度で接してしまうことがある。 例えば、「実話」というテイで書かれた話を読ん…
ゾウムシはゆっくり歩いていた。 俺はそれを眺めている。場所は電車の中で、ゾウムシが歩いているのは目の前に立っている女性の後頭部だった。 声をかけた方がいいのかな? 俺は少し考えてから、それはないなと思い直す。 まったく自慢にならないが、風体か…
夜食を買いに行ったコンビニで店に入ったときにかけられた「いらっしゃいませ」という言葉のイントネーションが、一回目に言われたやつもその後に続けて言われたやつもなんとなく耳に残る感じで、レジに行ったら果たして店員さんが二人とも外国の人だった。 …
何かを失って傷ついてズタボロになっていくことへの憧れ、ナルシシズムみたいなものがあると思っていて、『カウボーイ・ビバップ』のスパイクとか『告白』の熊次郎とか目を奪われてしまい、彼らが迎えた結末は、まるで大きな石を水の中に投げ込んだように心…
田舎に帰っている。天気がいいので、読んでいる本の続きは庭で読むことにした。 乾いた芝と、まばらというには繁って生えすぎた青々した雑草が日の光を浴びている。庭というより、どこかの山野の風景に見えた。 人家の一画のように見えないのは、思い出の中…