あまりにも扇情的な傑作。映画版『BLUE GIANT』の感想について

ランキング参加中はてなブログ映画部 扇情的 良いのと悪いのと二つの意味を含めて「扇情的」と言いたい。 一つは、音響によって観客の心と体をゆすぶる、とても官能的な作品であるということ。 原作のストーリーの良さをまったく損なわない、素晴らしく編集…

今日、脳から捨てたものについて ⑭

ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの あぱぱの肉揉み 元ネタは町田康の短編『権現の踊り子』。 物語というのは、作者が考えていることや感情を伝えるツールになる。しかし、場…

カレーについて

ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ はじめに セブンイレブンがカレーフェスを始めてから、SNSで食い物の話題の中心がカレーになった。 普段、特別に食道楽ではないにしても、色々な食べ物について投稿している人たちが、カレーの一色に染ま…

今日、脳から捨てたものについて ⑬

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの MARVELコラボ 何年か前までパズルアンドドラゴンズをプレイしていて、「おお、この漫画のコラボが来るのか!」と楽しむという、とても健全な盛り上がり方をしていた。 映画作品ともよくコラ…

今日、脳から捨てたものについて ⑫

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの 酒池肉林区 卑猥町 元ネタは『ナニワ金融道』。 町中の看板も小切手の名義も、この漫画ではすべてがこういうカラーで占められている。作中の人たちも何も言わないので、「もしかすると、こち…

今日、脳から捨てたものについて ⑪

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの ・もちろん新品で買ったわ 漫画家 花沢健吾の旧HPに登場するフレーズ。要するに、中古ではなく新品で買ってくれということだと思われる。 俺は当時金がなかったので、マンガを新品で買うこと…

人類、このデスゲーム製造機。『イクサガミ 天』の感想について

はじめに デスゲームなんぞや。 その両輪は、①殺し合うこと ②殺し合いの誘発と離脱防止が、システマチックに管理されていること だと思っている。当たり前だが、この二つの要素から成る。 人類は有史以来、①をずーっとやってきた。 あとは②でシチュエーショ…

求めれば与えられる時代について

よく行っている作業に、読んでいる本の気に入った部分をOCRで読み取って文字化し、そのデータを整理・分類する、というものがある。 整理にはnotionを使っており、作ったページにOCRのデータをコピペする。それから、文章のテーマごとにタグ付けをする。【生…

2022年M-1グランプリでのウエストランドの漫才について

はじめに ロングコートダディの1stラウンドが一番面白かった。 よく、「感心が優先してしまって笑えなかった」という表現があるが、感心した上に猛烈に面白かった。あと、ほぼ、誰も傷つけない笑いだったと思う(以下の話を書く上で関係する)。 ウエストラ…

『呪術廻戦』21巻の感想について。もしくはギャンブルとフィクション偏愛の話

はじめに 猛烈に面白かったので感想書きます。 石流生存! うれしい。良いキャラだったんで。 ただ、なんつーか、「死にそうなところで生き残ったのが、むしろ将来の死亡フラグ」みたいな漫画なんで、そこがつらいところです。 シャルルVS秤 私の脳にゴミの…

八虎の誠実さ。そして、不二 桐緒は何者か? 『ブルーピリオド』13巻の感想について

はじめにーここまでのあらすじー 主人公・矢口八虎、美大2年目。東京藝大への現役合格を、合理的な目標意識と猛烈な努力で果たした八虎だが、日々の中で少しずつ、自分の方向性に迷いを持ち始める。 授業の課題である「罪悪感」がテーマの作品作りにも着手で…

『HUNTER×HUNTER』37巻の感想について。2026年に再び会いましょう

はじめに 内容の考察は俺よりずっと頭のいい人たちが色々書いているだろうから、あくまでいち読者として「やっぱすごいねぇ」と感心したところを紹介していく。 表紙 ホイ・コーロ国王の婚外子にして二線者、モレナ=プルード。 37巻で一番ノックアウトされ…

労働について

『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』という本の中で、現代では教養を身につける目的がすべて、ビジネスにひもづけられるようになってしまっている、ということが書いてあった。 本来の教養というものがあるとすれば、はじめからビジネスに役立てるこ…

ひまわりについて

仕事中に業務がかったるくなったので、気分転換がてら、職場近くのスーパーにハード系のグミを買いに行くことにした。 職場がある建物の敷地を出ようとして通りを見ると、一方から老人の腰かけた介助用の車椅子が、その反対側から乳児の収まった乳母車がそれ…

世界について

先日、新宿に買い物に行って駅構内を歩いていると、目の前にそれぞれのスカーフをかぶった頭が二つ。お、ヒジャブだなと思う。 そのカラフルな布をなんとなく見ていて、彼女らの後頭部が円形に、紐かゴムのようなものでくくられているのを知った。「こういう…

『正反対な君と僕』第14話の感想について

shonenjumpplus.com はじめにー「奇蹟の残り香」「エレナの聖釘」ー 久しぶりに『HELLSING』を読んでいたらアーカードとアンデルセンの最終決戦で、切り札・「エレナの聖釘」で怪物の力を得て宿敵に対抗しようとするアンデルセンに、アーカードがこう言う。 …

スプラトゥーン3・ヒーローモードの感想と「オルタナの、その先へ」の心構えについて

はじめに スプラトゥーン3のヒーローモードを隠しヤカン「オルタナの、その先へ」までクリアした。 ストーリー本体はめちゃくちゃ面白かった。一方、その後にひかえる裏ステージ(隠しヤカン)の鬼畜さたるや。 ストーリークリア後の「すごいスタッフだな〜…

沖田修一の会話とのんを観に行く。『さかなのこ』の感想について

※ この記事に性差別の意図はありませんが、以下の文章がそう読めてしまったら私のジェンダーロールに関する想像力や知識の不足です。すみません。 はじめに 沖田修一監督作品という点は大事なのでタイトルに入れた。沖田修一なら内容やテーマに関わらず行こ…

あわいについて

※ 虫をわかせた話が出てくるので、苦手な方(得意な人がいるのか?)はお止めください。 蝉の声と鈴虫の声が両方とも聴こえる。 8月末から9月のはじめ、朝起きると夏と秋の二つの虫の音が混じっていて、季節が変わっていくのだな、と思う。二つのものが重な…

結局、一番怖いのは「映画」ということですよ…『NOPE』の感想について 2/2

※ この記事に人種差別の意図はありませんし、私個人もあらゆる点で反対する立場ですが、以下の文章がそう読めてしまったら私の想像力や知識の不足です。すみません。 ここまでの話 sanjou.hatenablog.jp 以下、ネタバレあり。 『NOPE』の物語では、利用され…

結局、一番怖いのは「映画」ということですよ…『NOPE』の感想について 1/2

※ この記事に人種差別の意図はありませんし、私個人もあらゆる点で反対する立場ですが、以下の文章がそう読めてしまったら私の想像力や知識の不足です。すみません。 はじめに めちゃめちゃ面白かった。世の中的には、まあまあって評価みたいですが。 カテゴ…

『血界戦線 Back 2 Back』災蠱競売篇は、なぜつまらないのかについて 2/2

ここまでの話 sanjou.hatenablog.jp 長すぎる。 ② 登場人物たちが「いま何をしたいのか」、最後までわからない(続き) 災蠱競売篇は、人命を犠牲することで強力な兵士を製造できる道具であるカロプス人蠱をめぐって攻防が起きる。 攻め側であるライブラやグ…

『血界戦線 Back 2 Back』災蠱競売篇は、なぜつまらないのかについて 1/2

はじめに 色々と、長々と書くので、最初に要点だけ書いておく。 ① 話が長すぎる ② 登場人物たちが「いま何をしたいのか」、最後までわからない ③ 血界の眷属(ブラッドブリード)と各キャラクターの力関係がよくわからない はっきり言うが、こういう理由でつ…

セックスの同意について

※ この記事では暴力と性を題材にしています。 『ニュー・シネマ・パラダイス』の編集フィルムの過激なバージョン 映画を観ていると、ときどきセックスのシーンが出てくる。その中でも、個人的に印象に残っているものは次の作品で描かれている。 『ジョゼと虎…

色々と惜しいトンチキ映画だった『哭悲 THE SADNESS』の感想について

ゾンビがカンフーを使って何が悪い 同じ時期に公開されたアジアのホラー映画だと『女神の継承』の方が圧倒的に怖くて、完成度という点でも優っていたと思う。 sanjou.hatenablog.jp 『哭悲』も『女神の継承』も、どちらも全編にわたってすごく暴力的で救いが…

今日、脳から捨てたものについて ⑩

はじめに 主旨はこちら。 sanjou.hatenablog.jp 以下、捨てたもの ・お前の改名興味NAME 『ガキの使い』、「月亭方正がラップバトルに挑戦」。「即興 嘘つき旅館」もそうだが、うまくやろうとしてうまくいくと企画としては失敗で、うまくいかないことの方が…

ロックについて

はじめに サマソニで複数の日本人バンドのMCが問題に?音楽に対する姿勢やメッセージ性についてのいろいろな意見のまとめ 前の演者の印象的な場面にふわっと乗っかろ、ぐらいの意図で片言マネたんだろ、と軽く思ってたが、海外のイベントで日本人の次のアク…

人類は林檎の夢を見るか、について

ここまでのあらすじ sanjou.hatenablog.jp いま流行りの画像生成AIを使って◯◯(例:林檎)に関する注文を出すと、人間がこれまでネットにあげてきた林檎に関する膨大な情報を渉猟して一つのイメージにまとめることができる。 別に、林檎の画像が欲しければ画…

SONICMANIA(ソニックマニア)2022の参加をあきらめたことについて

ソニックマニアずっと好き ソニックマニアというのはサマーソニック前日の夜から日付をまたいで夜明けまで開催されている、文字通り前夜祭的なイベントだ。 会場は幕張メッセの中に屋内ステージを組む。コンクリートを打たれた、広くて暗い、無機的なスペー…

人工知能は異形の夢を見るか、について

AIすごくね? AIに絵(画像)を描いてもらうことが話題になっている。 どちらかと言うと冷ややかに見ていた。特に「◯◯(画家の名前)風」に描いた何か、という画像を見たときは、けっこう不愉快な感じがした。 「あくまで◯◯風の、だからな。楽しんでる連中は…