ノンフィクション

正しくやり直すこと、『マンソンファミリー』の感想について

はじめに 村上春樹の『羊男のクリスマス』はおおざっぱに言うと呪いを解く話だった。 そこで描かれているのは、間違ったことをしてかかった呪いは、同じようなことを正しい方法でやり直さないと解けない、ということだ。 これはあらためて考えてみると、かな…

『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』の感想について ③

「デス・ゾーン」はどこから始まっていたのか? 「登山家」栗城史多氏の半生と死を追ったノンフィクション。 ①では登山界における異物としての栗城氏について、②では彼についてときどき語られる、SNSが及ぼした多大な影響という言説について反証した。 最後…

『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』の感想について ②

ソーシャル・ネットワークは栗城史多氏に何を及ぼしたか 「登山家」栗城史多氏の半生と死を追ったノンフィクション。 前回、登山という世界における異物としての栗城氏の存在に想像をたくましくしてみたが、その続き。 栗城氏とその死については、SNSの功罪…

『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』の感想について ①

はじめに かなり気持ちを揺さぶられた。 「登山家」であり、2018年にエベレストで滑落して亡くなった栗城史多氏についてのノンフィクションだ。なお、登山家にカッコがついているのは、本人の技量や手法が問題視されたことによる。 読み終えて、三つの感想を…