求めれば与えられる時代について

 よく行っている作業に、読んでいる本の気に入った部分をOCRで読み取って文字化し、そのデータを整理・分類する、というものがある。

 整理にはnotionを使っており、作ったページにOCRのデータをコピペする。それから、文章のテーマごとにタグ付けをする。【生物学 遺伝子】とか、【歴史 古代中国史】とか。

 まあ、内向きで陰気で、でも愉楽にあふれた作業なのだ。

 

 ところで、OCRを使うと本の体裁そのままにデータ化される。だから、紙面で行が変わって次の行に移るところは、データにすると一つの文章としてつながらない。改行が挿入されて文章が途中でぶつぎれるので、この改行を消す必要がある。

 俺はこの改行を一つ一つ、つぶつぶと消しながら文章をつなげる。これまでずっと、そうしてきたのだ。つぶつぶ、つぶつぶ。

 

 今日もそういう作業をしていたのだが、唐突に思った。

 「もしかして、インターネット上には、ウィンドウの中に文字データを放り込むだけで、改行やスペースを自動で消去して文章をひとつなぎにしてくれるサービスがあるんじゃないのか?」

 

 あるだろうか。

 

 あった。

 

html-css-javascript.com

 

 つぶつぶ終了である。

 それと同時に思ったのだが、なんというか単純に、探せばあるものだな、ということだ。そんな便利なもんはねえだろう、という、言葉で自覚さえしない無意識のストッパーのようなものが脳に仕込まれているのだが、実際はあるのである。

 求めれば与えられる時代なのだなあ、と思う。強い欲望を持ち、それを言語化する能力に長けた人の生きやすい時代なのだ。

 

 俺はどうだろう? まあ、中の上ぐらいでしょうか。

 なんか損してるなあ、とか、「俺は知っているが、あいつらはこんなことも知らねえんでやんの」とか、そういう変なところに落ち着かなければいい。そう思っている。