『ガードレール』を発掘して、はてなインターネット文学賞「作品発掘部門」をいただいたことについて +α

はじめに。ーお礼ー

 はてなブックマーク主催による、インターネット上の文章を「作品発掘」として人目に付きやすくする・推薦する、というイベントがあり、『ガードレール』という第三者の作品を応募したところ、賞をいただきました。ありがとうございます。

 「人目に付きやすくする」とか「第三者の作品」とか、概要を聞いててもいまいちピンとこねえな、という方もいると思います。わかりにくいな、と俺も思う。

 『ガードレール』は俺が書いたわけではなく、「はてな匿名ダイアリー」というテーマのない匿名掲示板のような空間に投稿されていた文章で、俺はそれを「作品発掘」というかたちでタグ付けしてエントリーさせたんですね。極端な話を言えばそれだけで、目立つように少し強調しただけ。

 なんだか人のフンドシで相撲を取るような話ですが、賞の主旨がそうなのだから、いいか、と思ってありがたく頂戴する次第です。

 あらためて、はてなブックマーク運営の皆さまと、何より、『ガードレール』という文章そのものを書かれた方に、かさねてお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 これが、その『ガードレール』。ナイスな文章です。何度読んでも良い。

 

で。

 俺が「作品発掘」した文章は他にもいくつかあって、この場で紹介させてもらおうと思います。あらためて読み返すと、自分の趣味ながらいいですねー、と感じます。

 

 マインクラフトの実況と叉焼の調理という、外野から見るときわめてトンチキな組み合わせでコンテンツを始動したところ、ゲーム動画の方はまったく再生されず、叉焼ばかり注目されているという話。

 観衆の思いどおりにならなさ、困惑を描いて素晴らしいと思う。

 

 「らぅめん」の「ぅ」に異常な熱量の敵愾心を抱く話。

 書いてる本人の才能(言語感覚)と回転、情熱に満ちた、ラップのフリースタイルのような文章であこがれる。

 

 俺の「作品発掘」について、あえて傾向を表すとすれば家族ものに弱い。姉(6歳)の挙動が一番好きかもしれないです。

 

 これはもう、普通に映像化して料金取れるんじゃないですかね。すげーと思います。

  タイトルの通り。

 この良さはなんだろう。夫婦っていう、相手のことを愛していて何の問題もない関係性で愛がそのまま発揮されてるのがいいのかなあ。

 

 立派な希望や大志よりも、くだらないしょーもないアイデアを実行できない事実の方が自らの限界を厳然と思い知らされることがあって、基本的にバカバカしくて面白い文章なんだけど、1%くらい、マジの焦りや絶望が気がして良い。

 

 『夫を松潤扱いしてみた』と同じ方向性だろうか。

 誰にも気兼ねなく愛情を示し、与えられる立場で、ストレートに対象を愛し、観察することがこの世界でちゃんと起きているのが、俺は好きなんだろう。

 

 猫画像をネットに投稿してランダムにどちらの猫がかわいいか、という対決が延々と繰り返されるというサービスについて、筆者が思い出を語る話。

 半永久的に存続する電脳空間に、命を費やして滅んでいく生き物の記憶を残すという行為には、何かゾッとする部分と、せつない祈りのようなものが混じっていると思う。

 

 業の肯定、とは言わないが、文芸における本質の一つの側面は、どう考えても明らかに劣っているものへの普通の評価を一瞬だけ「狂わせる」ことにあると思う。

 はてな匿名ダイアリーに書かれた文章は、ときどき「増田文学」と呼ばれて、こいつはマジで文学だよなと思う。

 

 心のどこかに、児童虐待やネグレクトを犯す大人に対して感情移入してしまう俺の気持ちがあって、確実に悪だし容赦なく制裁されるべきだと思うけど、なんだろうな、「そういうヤツはいるだろうな」っていうのとも違う、あえて言葉にすれば、「わかるよ」ってことになってしまうんだろう。

 それだけに、どこかの家庭でちゃんと愛情を与えられて小さい子供が育てられているのを知ると、もうそれだけで良くなる。

 

 という感じでした。以上、よろしくお願いいたします。