花について ①(2023/5/15~)

はじめに

 

 一番背が高くて葉が枯れかけているのが桜。

 赤いのはガーベラ。

 ガーベラの左隣の花の首が落ちているのがシャクヤク

 一番左はよくわからない。

 

なぜ花を

 桜の枝を一本買ったのが3月ごろで、理由は机に向かうきっかけが欲しかったのである。

 座って作業をしていて、集中が切れてきたら花を見て、また作業にもどる…。そういう光景を夢見ていた。

 実際は、まあ、できたりできなかったりした。

 

 桜はやがてピンク色に咲き、花が散って燃えるような緑の葉を茂らせた。しかし、いまは葉が茶色くなってくるくるに巻き、あまり良くない感じである。次の芽が出ている枝もあるが…。

 養分を与えすぎることによる肥料焼けと呼ばれる症状があるらしい。特徴として、葉が先の方から茶色くしおれてくるらしく、それなのかもしれない。

 俺は栄養の適量もわからないで、いい加減に栄養剤を水に溶いたものに花を挿している。今回は少し濃度を薄めてみた。これで葉の生気がもどるとよいのだが…。

 

 ガーベラをいったん飛ばしてシャクヤクである。なぜ花の首が落ちているかというと、花が咲かなかったからである。

 これも栄養の与えすぎが悪影響した可能性がある。

 買うときに花屋の方から、「養分が豊富すぎると蜜が出て、花弁が固まって咲かないことがあるから気をつけてください」と言われていた。そんなことがあるもんかな、と思っていた。

 そしたら、本当に咲かなかった。どうも、書いているうちに自分がロクにものを知らない、命に触れる資格のない人間に思えてきたが、確かに、いくらかそうなのだろう。

 とりあえず、栄養の与え方は見直すつもりでいる。

 

 一番左の花は正体がよくわからない。得体が知れないのは珍しいからでもなんでもなく、単に俺が花をよく知らないだけだろう。

 これは、他の花を買ったときに一緒に入ってきた緑色ばっかりの植物で、なんだろうな? と思っているうちに白い小さな花が群れて固まって咲いた。

 買ったときに添えられていた意味は、もっと鮮やかな他の花のにぎやかしなのだと思う。別に、いまでもすごく目を引くとは思わない。

 ただ、真っ赤っ赤なガーベラを見ていて、ずっと眺めているとその鮮烈さに気疲れし、気づくと白いぽわぽわしたしょうもない花の方を見ている、ということがある。

 

 最後に赤いガーベラである。大きさの異なる花弁が、中央から同心円状に重なっていて、「馬鹿馬鹿しい手が込んでるな」と見ていて思う。

 幾何学模様みたいで、自然物にはどうも見えない。工芸品のようだが、そう思って見ると、今度は「人間にこんなものが作れるわけないな」と感じる。

 ずっと眺め続けていると、自分が何を見ているのかわからなくなる。ただ、とにかく赤い。複雑で、強烈に赤いものを見ている。

 

花は

 すでにどこかで、おそらく言われていると思うが、花をいくつかまとめるのはポケモンの構成を考えたり、RPGのパーティを組むのに似ている。

 どうしても、個々の役割のようなものを与えたくなるし、できるだけ偏重を避けたくなる。どれだけ豪華になっても、一つの花瓶の中にガーベラが2輪あったらやりすぎだと思う。

 …と同時に、この中に真っ青なガーベラを加えてみたいな、とも思う。どうなるかな、という気持ちになる。みんな、そんなことが楽しいんだろうな、となんとなく思っている。