2022年8月11日について

 風が強い日だった。海岸に椅子を持っていて本を読んでいた。波がいくつも重なって立って、天気はいいが、海が沸いているようだった。

 犬が散歩しながら何匹も目の前を通っていく。あるとき、茶色が濃い柴犬が一匹、急に立ち止まったので首のリードが飼い主の手との間で、びん、と張った。

 しばらく砂地の匂いを嗅いだ後、前足で一ヶ所を掘り始める。お、掘ってるな、と思う。

 犬はそこでおしっこをして、よし、という感じで去っていった。

 次にスパニエルに似た洋犬がやってきて、前の柴犬がおしっこをしたあたりで、ん? という感じで立ち止まった。ん? ん?という感じで興味たっぷりで鼻を動かしている。

 おおー、と思っている俺を置いて、何もせずに去っていった。

 次に大きいプードルがやってきて、また同じところで匂いを嗅いで、去っていった。

 次に来た犬は何も関心を示さなかった。そういう性格なのかもしれないし、もう臭いが消えてなくなっているからかはわからない。