はじめに
けっこうな波乱が巻き起こりつつ(主に東郷室長補佐の新事実的な意味で)、解決された謎も多かった第11話。
前回までの疑問や推測を自己採点しつつ、再整理していく。
百貴宅から検出された鳴瓢の思念粒子について
百貴宅から検出された鳴瓢の思念粒子は、鳴瓢が独房で殺人犯を自殺に追いやったとき、壁際の写真に付着したものだった。
というわけで、鳴瓢は百貴宅で誰かを殺したのではないか、それは行方不明の飛鳥井木記ではないか、という俺の推理は外れ。
ただ、鳴瓢には別の角度から新たな疑惑が生じたので、それについては別項で。
あと、百貴がなぜ、自宅由来のイドに鳴瓢を潜らせることを罠と見抜いたのか、これでわからなくなってしまった。
あの「全部罠だ」発言は、てっきり百貴が自宅での鳴瓢による殺人に思い当たったからこそ、鳴瓢をドグマ落ちさせる陰謀に気づけたものと推測したのに…。
あらためて、百貴はどこから鳴瓢が潜るイドの正体に勘付いたのだろう?
名探偵3人集合
チーム感あってよかったですね。
名探偵が2人いると、どちらかはかませになる、という富久田の不吉な言葉が何かの伏線でないことを祈るばかりだけど、そんなネガティブな予感を吹き飛ばすくらい、「さあ反撃だ!」という雰囲気があってすごくよかった(結局、鳴瓢のドグマ落ちも回避されたみたいだし)。
富久田と本堂町
で、この2人ですよ。
この2人の関係性は…なんだろうな。
お前ら結婚しろ!と茶化せる感じでもないし(恋愛感情はたぶんないと思う)。
「因縁」と「相思」と「エモさ」を足し合わせたうえ、どう整理していいかわからないような…。
基本の関係性としては、穴を空けた加害者と被害者なのだ。
ただ、本堂町は自分に空けられた穴を自身の大切な一部として受け入れている気配がある。
一方、飛鳥井木記のイド内の過去世界で、いきなり現れて意味のわからないことを言う本堂町をあっさり受け入れただけでなく、本堂町の推理のサポートまでしてみせた富久田。
去り際の「また、会えるかな?」から、相手を意識している=主導権をとられているのは富久田の方…と思いきや、砂漠の世界では富久田=穴井戸の方が本堂町=聖井戸を少し振り回しているように見える。
場所によってリードする側を交代しながら、ギブアンドテイクを交錯させ、共に殺人者であり名探偵。
そして、「穴」が何を意味するかは、結局この二人にしか共有できない世界なのだ。
これほど重層的に惹きつけ合う2人が、かつていただろうか?
ジョン・ウォーカーは何者か?
局長でした。
7人の殺人犯、7件の殺人
飛鳥井木記のイド内で、本堂町は鳴瓢が残した手帳から、一連の事件が7人の殺人犯による各7件の犯罪から構成されていることを知る。
7という数字の意味するところはまだわからない…。
本堂町が推測したように、創世記の7日間にかかっているのかもしれない。
あるいは、7人×7件=49で、四十九日とかかっているとか…(仏教において、故人が極楽に行けるかどうかを決める最後の審判)。
ただ、7人の殺人者については気になることがある。
劇中では対マン、股裂き、顔削ぎ、舌抜き、墓掘り、腕捥ぎ、穴空きで各曜日ごとに犯行を起こしていることが判明した。
イド内イドの中、飛鳥井木記の夢で、飛鳥井を殺しに来た顔削ぎが、「今日は俺の番だろう」というようなことを言う。
ここから、ジョン・ウォーカーによって飛鳥井木記を夢の中で殺した人物が、曜日替わりの殺人犯たちとしてリストアップされているようだ。
気になることが二つある。
一つは穴空き=富久田の存在で、富久田は本堂町との会話で、「夢の中でジョン・ウォーカーに、飛鳥井木記の殺害を薦められたが、興味がないから断った」と答えている。
飛鳥井の夢内殺人に関わっていない富久田は、本当に7人のうちの一人なんだろうか?
まあ、夢の中に招待された時点で連続殺人犯としてのルートになるのかもしれないし、富久田が実際に決まった曜日にだけ犯行に及んでいるなら、そうなのだろうけど…。
もう一つ気になるのは、上でも書いた鳴瓢のことで、独房内で犯人たちを淡々と自殺に導く=間接的に殺害する行為を続け、件数が「7」に近づきつつある鳴瓢の存在は、かなりきな臭い。
鳴瓢が数字の7にまつわる何かの計画の最後の仕上げに関わっている、というのはあり得るんじゃないだろうか(別に、鳴瓢に不幸になって欲しいわけではない。あと、この発想はもちろん、映画『セブン』から思いついている)。
飛鳥井木記、ついに現実世界に登場
現実世界では所在不明だった飛鳥井がついに登場。やっぱり、ミヅハノメの中枢として、イドの生成を担っていたっぽい。
局長の狙いは、推測するに、以前飛鳥井が十数人を同時に昏倒させた能力を最大出力で解放し、全人類の精神を同じ夢で侵食する(invade)ことじゃないだろうか。
ちょっと思ったけど、仮に、ジョン・ウォーカーによって夢の中で飛鳥井木記を殺した者が、現実でも殺人を犯し、その残滓から飛鳥井がイドを生成する、というのがミヅハノメというシステムの真相だとしたら、あまりにマッチポンプというか…飛鳥井かわいそうすぎるね…
百貴室長と東郷室長補佐
ある意味、11話最大の衝撃。
舞城って、誰かの秘めたる思慕やいわゆるNTRを描くことは多いけど(『美味しいシャワーヘッド』『淵の王』『すっとこどっこいしょ』『畏れ入谷の彼女の柘榴』)、完全に視聴者の不意を突いてくるのは珍しいかも。
緊迫したあの場面であえての演出、良い意味でらしくなさを感じた。
残り2回!
一応黒幕は判明したけど、謎はまだ多い。もうひと波乱あるかな? 鳴瓢には幸せになって欲しい。
以上、よろしくお願いいたします。