舞城王太郎脚本、シリーズ構成。『ID:INVADED』を観ようぜ、ということについて

 アニメ『id:INVADED』にハマっている。


 俺の大好きな舞城王太郎がシリーズ構成(ってなんなのかよくわからないけど)と脚本を担当しているということで視聴して、あっさりハマった。舞城ファンで、あんまりアニメを観る習慣がない人にもおすすめ。


 いま10話を観終わったんだけど、感想としては、「思った以上に舞城全部乗せ」。
 集大成という表現を使うのは、小説家・舞城王太郎を愛するファンとして複雑なものがあるけれど、ものすごく重層的に「舞城」を感じる。


 正直最初は、「名探偵」が超常世界の殺人事件を解く、っていうアイデア一本で勝負する作品だと思っていた。
 殺人犯と名探偵の表裏一体性っていう発想は舞城っぽいけど(正確には舞城に大きな影響を与えたと思われるトマス・ハリスハンニバル・レクター)、すごく独自ってわけでもないしなあ。


 と思っていたのが、おお、舞城だ!となったのが、本堂町小春と井波七星の口喧嘩。
 この、表面上は普通に会話しながら、お互いに敵意をちらつかせ、徐々に緊張感が臨界に向かう感じ。舞城のセリフ回しとアニメーションってこんなに相性よかったんだ、と感じた。
 あとは、10話の鳴瓢の「本当に悔しいよ」の感じ。これもめちゃ舞城。
 言葉の選び方もだし、大切なセリフが、相手だけでなく自分自身にも言い聞かせるような感じになるのがマジ舞城。津田健次郎さんの演技も最高ですね。


 物語の核が絶対悪(ジョン・ウォーカー)との対峙にあるのは『ディスコ探偵水曜日』を思わせる。
 また、あらゆる殺人犯に入れ替わり夢の中で苛まれる飛鳥井木記の存在も、何かを代表するように世界の悪意にさらされ続ける少女(『ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート』)を彷彿とさせる。
 『id:INVADED』には、こんな具合に多くの舞城要素が盛り込まれている。未見の人は今からでも観ようぜ。


 で、作中にはまだ多くの謎が残っている。個人的に気になった部分については別の記事で整理してみるので、以上、よろしくお願いします。