わかめラーメンを食べたことについて

 久しぶりにわかめラーメンを食った。インスタントのやつ。

 なぜかというと、買ったのではなく実家から送られてきたからだ。

 嫌いなわけではなく、むしろ好きな商品なのだ。

 ただ、30代になるとインスタント麺の消費量がどうしても衰えてしまう。限られた機会の中で選択するとなると、俺は酒を飲むのでそれに合う、クセの強いもの、単純に辛味の効いたものということになってしまい、なかなか登場する出番が回ってこない。なんだか、興味は引かれるものの余暇の都合でなかなか観るきっかけがない、少しだけ気になる映画みたいな、そういう立ち位置になっている。

 

 亡くなった母方の祖母が、夏休みに遊びに行くとよくわかめラーメンを出して作ってくれた。

 ちゃんとドンブリに移し替えて、ネギや細かい野菜をいくらか刻んで盛り付けてくれた記憶がある。わかめラーメンを食っていると20代はもちろん思春期さえも飛び越えて、世界が虫取り網とスーパーファミコンで構成されていた時代があったのを思い出す。

 

 少年時代があっという間に過ぎ去り、学生の期間でさえ人生における量では少ない割合であることを考えると、その希少な時間と等分の量が、祖母にとってはそのまま残りの時間だったのだ。

 その時間を使って、祖母は孫の世話をしてくれた。ありがたいことである、と今にして思う。