『呪術廻戦』14巻の感想について

感想

 収録は第116話・渋谷事変34~第124話・渋谷事変42 まで。
 
 冒頭で宿儺vs.漏瑚が決着。

 前巻で陀艮のあとを引き取って呪術師たちと対峙し、まるで主人公のようだった漏瑚。今巻でも、なんだか悪役じゃなかったみたいな描かれ方です。

 そこに宿儺がかける言葉がいいですね。13巻の感想でも書いたとおり、宿儺はポジション的にも強さ的にもこの漫画の全勢力を完全に俯瞰しているので、めちゃ残酷なこともできるし、反対に、すごく優しいことも(たぶん本人にはそのつもりはないが)言えるんだな、と思いました。まさに、呪いたちの「王」なわけですね。
 
 でも、ベースとしては宿儺はやっぱり超悪役です。エグすぎる。
 っていうか、この火力は今後どう太刀打ちするんだろうか?
 個人的には、『呪術廻戦』はバトル漫画として俺が楽しめる(≒ 想像力が追いつく)破壊力の、そろそろ臨界に達しつつある。これがワンピースとか、ましてやドラゴンボールとかトリコの終盤くらいまでいっちゃうと、ピンとこなくなっちゃう。
 逆に言えば、いまの宿儺とか漏瑚あたりの火力を物語の頂点としつつ、真人みたいな変化球や釘崎とかがちょこちょこやってる絶妙なバランスが俺の一番好きなアンバイで、なにとぞ、この具合で。いまが本当に気持ちいいところです、と思ってます。
 
 今巻も退場者続出。あの人の散り際は『レオン』のオマージュでしょうか。
 それと同時に思ったのは、たぶん作者は真人を闇の主人公として描きたいのかな、ということ。物語の重心が大きく彼に寄りつつあるというか、この因縁の作り方は敵勢力の単なる幹部で終わらないな、と。そういう14巻でした。
 

『呪術廻戦』はネクスト鬼滅か?

 本筋と全然関係ないんですが、最近、「ネクスト鬼滅」というコピーとともに『呪術廻戦』が挙げられることがあります。
 俺が鬼滅読んでないのもあって「違う作風のものを無理くりくくるなや!」っていう反発もあったんですが、最近はこんなことを思ってもいます。
 
 あくまで仮説なんですが、少年漫画は、ワンピースあたりにジャンル全体を漠然と代表させると同時に、「だからワンピ読んどきゃとりあえずOK」的に、他の作品まではなかなか拡大・販促されていかなかったところがあった。
 しかし、各々の作品には潜在的に、性別や世代を超えて訴えかける商品としての魅力がちゃんとあった。その壁を、鬼滅が一大ブームによってぶっ壊した。
 ネクスト鬼滅という表現は、鬼滅に続く2作目を探せ、というより、少年漫画というマーケット自体の再評価をあらわすフレーズなのかな、と思うわけです。「少年」と言いつつ、いい歳こいた大人も、女性でも楽しめる市場が、以前から、それも広大に、ちゃんと存在しているじゃないか、という。
 そういう風に考えると、俺も抵抗が少ないというか、「おお、そうだ。『呪術廻戦』も壮年でも女性でもたぶん楽しめるぜ!」という感じになります。そうだ、みな『呪術廻戦』を読むとよいのだ。キャラがページめくったらいきなりサイの目になってたりするけどな。
 
 15巻は3月だそうです。2か月後に刊行は、嬉しいけど少し心配でもあり、先生は健康第一で頑張って欲しいと思います。以上、よろしくお願いいたします。

 

呪術廻戦 14 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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 マジで売れまくってるらしくて、コンビニで買おうと思ったら一冊も見かけませんでした。