ジェフ・ゴールドブラムとT-REXを観に行く。『ジュラシックワールド/新たなる支配者』の感想について

今週のお題「SFといえば」

 

はじめに

 観たのでレビューする。ネタバレあり(細かいところはボカす)。

 

 はっきり言ってトンチキな構成で、ストーリーとしてすごくよくできてるとは言えなかった。

 それでも、シリーズ初期の三人がそろった「画」はかなり心震えるものがある。リアルタイムでシリーズ第一作を観た人は、絶対観て損はないと思う(約30年前だってよ。信じられない)。

 一方、観ていてハラハラしっぱなしで、普通に面白かったのも事実。アクションは本当にすごくて、それだけでも満喫できる。ジェットコースターを楽しむとき物語はいらないでしょ、って感じの映画。

 

登場人物紹介

ジェフ・ゴールドブラム as イアン・マルコム博士

 主人公。イケオジ。ゴールドブラムは今年古希。

 

T-REXティラノサウルス

 主人公。旧型の意地。

 

・バッタ

 主人公。数が多い。

 

キャンベル・スコット as ルイス・ドジスン

 ドジっ子。火を放つ。

 

あらすじ

 遺伝子をいじったバッタに食い荒らされない作物の種を売ったらかなりもうかるんじゃねえ? と狙っていたら、バッタが思ったより強かった。

 

よかった場面

 アクション全部。どれもすげえよかった。

 特によかったのは、予告編で使われてるバイクと恐竜のチェイスのシーン。チェイスシーンの中でのいい所、基本的に全部予告編で出ちゃってるんだけど、それでも通しで観ると迫力すごかった。

 あと、森の中で水中をゆーっくり逃げるところ。欲を言えば、水面に頭沈めるのと完全に同じタイミングで画面にフェードインしてきて欲しかったけど、十分ハラハラした。これも予告編で使われてるんだけど、劇場で観るともっとすごいよ。

 あと、やっぱ最後の対決シーン。映画を観る前から期待していた内容ではあるんだけど、作中でもしっかり因縁がつくられていて、製作側の「結局、みんなこれが観たいんだろ?」というドヤ顔を感じた。

 でも、実際のところ、その通りなので。

 あの丸いウィンドウ? 噴水? の前を横顔が通るあのカット、あれのために俺は金を払ったと思ってる。ちなみに、あの爪がヤバいやつはテリジノサウルスというらしい。

 

では、どこがトンチキだったのか?

 恐竜という存在をどう描くか、根本的なところがブレていたのが原因だと思う。

 彼女/彼らは保護するべき野生動物なのか、危険なモンスターなのか、感情のない兵器なのか、交流が可能な友人なのか、コミュニケーション不能な誇り高い王者なのか。

 場面によって恐竜の扱われ方が飛び飛びで入れ替わる。もちろん、これはしょうがないことで、作品のテーマ自体が「人間と恐竜はどうやって共存、もしくは撃滅するか」という複雑な問いかけだし、色んな立場のキャラクターが登場するので、人物によって見方も異なって当然なのだ。

 ただ、同じキャラクターでも状況によって恐竜との接し方が違うのは、はっきりいって雑で意味不明。

 例えば、恐竜といくらかのコミュニケーションが取れたり、保護活動を行ったりしている人たちが、カーチェイスの場面では恐竜をばんばんはね飛ばしたり、ブラックマーケットで食用にされているのを目にしても感情一つ動かなさなかったり、というのは、もっと丁寧にやりようがあったと思う。

 

 そういう雑さがもろに表れているのが、オープニングと「手による制御」の二つだと思っている。

 オープニングでブライス・ダラス・ハワード演じる恐竜保護活動家が、劣悪な環境で違法な飼育を行っているファームから恐竜を解放しようとするのだが、その過程で発生したカーチェイスの最中に、放牧されていた恐竜を思いっきり轢く。

 保護する相手を車でぶっ飛ばしたら本末転倒だろ、と思うが、その事故について劇中では特にケアされない。ここが最初の「ん?」と思ったシーンだった。

 目の前の恐竜に向かって手のひらを示し、攻撃するな、というメッセージを伝える技術も「いらん要素」だったと思う。

 そもそも、そういう交渉とか操作が通じないからこそ『ジュラシックパーク』は怪物を描いたパニックムービーなんであって、それが可能なら作品自体が成立しない。

 しかも、この技術を使う人物が恐竜を絶対に傷つけないポリシーの持ち主かというとそうでもなく、要所では普通に攻撃するので、その辺もよくわからんな、と思った。

 

 他にも、会話のこの部分いる? とか、単純に何言ってるのかわからん、ってとことか(翻訳の問題?)、他の映画に比べて多かった気がする。

 

 それでも、ジェフ・ゴールドブラムはめちゃめちゃカッコよかったし(ラムジー役のママドゥ・アティエもよかった)、やっぱTレックス。Tレックスですよ。

 最強の座を譲った旧世代のアイコンに意地を見せて欲しい、って感覚は日本のオタクっぽい感性だと思ってたけど、全世界共通なんだな~と思った。考えてみると、『ターミネーター2』のシュワちゃんもそういう役どころだったしな…。

 

 そういうわけで、話の流れとかメッセージという面で言うとヘンテコだけど、やっぱり面白かったので、おすすめします。

 

 あ、あと最後に忘れてた。

 

 なんというか、思ったよりバッタの勢いがあったせいでマジで間違えました、って感じでバカっぽくてよかったと思います。