黒岩案件。『裏バイト:逃亡禁止』第93話の感想について

はじめに

※ 特定の職業を差別するつもりはないですが、ご覧になって蔑まれていると感じた方がいたらお詫びします。

 

感想

 好きな漫画でも、あんまり一話ごとの感想は書かないのだが、ちょっとすごいので書いておく。

 

 掲載先であるプラットフォームの裏サンデーでの煽り文句が「新章開幕」ということで。

 『裏バイト』は基本的に前・中・後編の三部構成で、三話終わって仕切り直されるたびに新章と言えば新章なので、いちいち言うほどか? と思っていたら、確かにこれは「新章」だと思った。

 93話で、『裏バイト』は明らかに新しいステージに入った。そのくらいヤバい。

 

 93話の内容を紹介する前に、おさらいしておく。

 この漫画では、時間単価で万単位の収入を得られるかわりに精神崩壊や生死のリスクがある仕事を「裏バイト」と呼んでおり、それは作品のタイトルにもなっている。

 それぞれのバイトは、表面上はどこにでもありがちなものなので(例えば、ホールスタッフとか)、何が危険なのか、そして、どうすれば生還できるかはすぐにはわからない。

 仕事は斡旋所のようなところで紹介される。作業の中身はヤバくても、それを仲介しているのは、意外と常識的な人たちだったりする(変人ではある)。

 

 しかし、今回が初登場となる仕事の仲介者・黒岩は、明らかにまともな人間ではなかった。外見も狂気をはらんでるし、その行動も常軌を逸している。

 そして、黒岩から紹介された仕事は特殊清掃員だ。つまり、自宅で誰にも看取られずに亡くなった死体を片付ける仕事だ。

 もちろん、現実世界でも誰かがやらないといけない勤めではある。いつかは誰もが世話になる可能性がある仕事でもある。

 しかし、ハードな業務であることは間違いない。そして、これまでの『裏バイト』で、ここまで明確に死と結びついた仕事は登場しなかった。

 例えば今までは、イベントスタッフとか料亭の仲居とか、「え? それがどうやって怪異と関係するの?」という仕事しか出てこなかった。しかし、今回の仕事はのっけから、死との関わりを明示しており、そして、今まで以上に、一つ間違えればあっけなく死が待ち受けている。

 

 そういうわけで、93話は新章と呼ぶにふさわしい。

 まずこの回で、「裏バイト」という業界にも、多くの裏バイターが選択しない、明らかにきつい仕事が存在するのが判明した。

 そして、この漫画に慣れてきた読者でも、「あ、これは今までどおりの感覚だとクリアできない」と序盤から思わせるエピソードとなった。読めばわかるが、一話目から不穏さと即死攻撃が荒れ狂っている。

 

 最後に、もし未読の方で関心があったら、93話の前にこの漫画を最初から読み通すことをおすすめしたい。いままでの話をふまえた上で93話に入れば、きっとギアが切り替わった音が聴こえると思う。

 ただ、それは1~92話までの危険性がぬるいことを意味しない。これまでの話だって十分ヤバい。そして、93話はもっとヤバい。とにかくみんな『裏バイト』読もうぜ、ということを言いたかった。

 

 第1話。 

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